
近年人気が高まっている美容医療のことをご存知でしょうか。
2020年の新型コロナウイルス感染症によって市場規模は一時的に減少しましたが、2021年以降は急成長を遂げています。1)

出典: 美容医療市場に関する調査を実施(2024年)|市場調査とマーケティングの矢野経済研究所
美容医療のニーズが高まっている中、2024年新たに「美容医療認定看護師」という認定制度が創設され、さらに注目を集めています。
この記事では、美容医療に携わる看護師の仕事内容や年収について、新設された資格の詳細と併せてお伝えします!
1.美容看護師とは
美容看護師は、美容の向上をサポートする医療機関で働き、医師の指示のもと治療や施術などの医療行為に携わる役割を担っています。
2.美容医療認定看護師とは
美容看護師と名称が似ていますが、美容医療認定看護師とは、一般社団法人日本コスメティック協会において2024年に新設された認定制度です。2)
3.何処でどんなことをするの?

主な勤務場所
主な勤務場所は、大きく分けて美容皮膚科・美容外科が職場です。
大手の美容皮膚科・外科グループや、大学病院に併設されているもの、個人経営のクリニックまでさまざまな規模の職場があります。また、美容皮膚科と外科が併設された職場もあります。
主な仕事内容
- 電話受付、予約、カウンセリング対応
- 医師の診療補助、施術時の介助
- 注射や点滴の実施、専用機器による施術
- 器具や医療機器の準備、片付け
- 服薬指導
- 衛生管理、薬剤管理、薬剤塗布
- 施術後のスキンケアに関するアドバイス
- ケア用品などの営業
- アフターケアとフォローアップ
- カルテ記載
- 最新美容医療の知識習得
職場の人員や処置内容に合わせて、上記の仕事を適宜実施しています。一般的に美容皮膚科と美容外科では、手術の有無が大きな違いです。
・美容皮膚科の看護師は、肌を美しくするための施術に関連する機器や薬剤を使用しています。具体的には、レーザー機器を使用した脱毛、シミ・くすみなどを改善するためのピーリング、イオン導入、ビタミン注射などが挙げられます。

・美容外科の看護師は、皮膚や全身を美しくするための外科的処置、いわゆる手術を介助しています。手術には整形・脂肪吸引・たるみやシワ取り・ほくろ取りなどがあります。
実際に美容看護師への取材をしたところ、クリニックの方針や所属する医師によって提供される美容医療はさまざまでした。美容外科・皮膚科という大まかな分類はありますが、両方を併設している職場も多々あるそうです。現場での仕事内容は固定されておらず、幅広く多岐にわたるとのことでした。
4.2024年新設「美容医療認定看護師」について
美容医療認定看護師になるには?
テキストで学習し、美容医療従事機関に応じて、認定スクールでの施術技術を履修します。学科と実技試験に合格することで認定を受けることができます。
新たな資格の取得は、看護師の仕事の幅を広げ、ステップアップにつながりそうですね。
美容医療認定看護師に興味のある方は「一般社団法人日本コスメティック協会公式HP」にて詳細をご確認ください。

出典:一般社団法人日本コスメティック協会|日本コスメティック協会美容医療部門
5.気になる年収は?
一般的な病院などで働く看護師の年収と比較して、美容医療看護師の年収はどのくらいなのでしょう。
厚生労働省が発表した「令和5年賃金構造基本統計調査」3)にて算出すると、看護師の平均年収は508万円となっています。これは、夜勤手当やボーナスも含まれた年収です。
一方、地域によって金額の幅はありますが、美容に関連した求人情報をインターネットで調べてみると美容医療看護師の年収はおおよそ500~600万円でした。
美容医療の職場には夜勤がないところが多いにも関わらず、年収が病棟看護師と同等か、それに近い水準となっており、比較的高い年収が期待できるといえます。
美容医療看護師の年収が高い理由はいくつかあります。
- 自由診療クリニック
美容クリニックでは、独自の報酬体系を採用していることが多く、収益をスタッフの給与に還元する仕組みがあります。 - インセンティブ制度
美容医療の職場には、成果や実績に応じて特別な報酬を支給するインセンティブ制度が導入されている場合があります。月給やボーナスに加えて、給与アップを目指すことができます。 - チームでの報酬
売上目標を達成した場合にチーム全体で報酬が支払われることがあります。協力し合いながら目標を達成することで、収入を増やすチャンスがあります。
インセンティブ制度など、自分の努力次第で給与アップの可能性があり、働くモチベーションの向上にも繋がりますね。
6.美容医療に向いているタイプ
美容医療看護師には、次のようなスキルや特性が求められます。
- 美容に関心がある
美容医療は進化し続けている分野です。美容に関心があり、知識や技術を学び続けたい方にピッタリです。美容関連資格を持つ人にはキャリアアップのチャンスも広がるでしょう。 - 丁寧なコミュニケーションができる
美容医療では患者さん一人ひとりに丁寧に対応することが大切です。人と接するのが好きな方や、接客力を活かしたい方に向いています。語学力があれば、外国人患者さんにも対応できます。 - ワークライフバランスを重視する
夜勤がなく、日勤のみで働けることが多い美容医療の職場は、比較的家庭との両立がしやすいでしょう。美容のスキルアップと、無理のない働き方を目指せる点は魅力的ですね。

まとめ
現在美容医療のニーズは高く、美容看護師の仕事内容は多様化しています。看護師の採用ニーズも高まる一方、選考時に職場の理念や雰囲気に合う、スキルやコミュニケーション能力が重要視されるため、内定率は低いのが現状です。
特に人気の大手クリニックであれば内定率はさらに低い傾向にあります。
必要な知識やスキルを新たに習得するために、新設された資格の取得に挑戦するのもひとつの方法です。これまでの経験を活かしつつ、今後の選択肢を広げる手段として美容看護師をキャリアプランに加えてみてはいかがでしょうか。
引用参考文献:
1)美容医療市場に関する調査を実施(2024年)|市場調査とマーケティングの矢野経済研究所.2024-06-28
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3570,(参考2024-11-07)
2)一般社団法人日本コスメティック協会|日本コスメティック協会美容医療部門.2024
https://nurse.j-cosme.org/,(参考2024-11-07)
3)賃金構造基本統計調査|政府統計の総合窓口.2024-03-27
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00450091&tstat=000001011429,(参考2024-11-07)
~ライタープロフィール~
【牧平真季】ナースLab認定ライター
総合病院で内科系、外科系、ICUなどのさまざまな部署を経験。家族でアメリカに4年半滞在後、気持ちが満たされる働き方を実現するために心機一転。現在非常勤の訪問看護とwebライターの仕事に取り組んでいる。
看護師による看護師のためのwebメディア「ナースの人生アレンジ」