気の合う同僚とは”アッ”という間の休憩時間。しかし、ときどき会話に困り、重い沈黙が流れることも。ナース同士が円滑にコミュニケーションを取れると、チームのモチベーションが上がり、医療安全につながるという研究結果があります1)2)。「でも何を話せばいいかわからない」というナースのために今回は“雑談術”を伝授します。
目次
知っておきたい!雑談の心得5条
「そもそも雑談ってどんな会話?」この5条を知っておくと、肩の力を抜いて雑談を楽しむことができるかもしれません。
1条 挨拶にプラス一言
「おはようございます」という挨拶の続きに、「今日の雨、すごかったですね」と加えるだけで、会話のキャッチボールができるようになります。
日常での挨拶に一言添えるだけで、雰囲気や印象が変わります。とくに天気やニュースなど雑談ネタはいくらでもあるので、ぜひ参考にしてみてください。
こうした雑談が1日のはじまりを楽しくしてくれるかもしれません。
2条 雑談にオチはいらない
雑談が苦手な人がよく感じる「何か気が利いたことを言わなければならない」というプレッシャー。
雑談はプレゼンテーションや議論ではないので、結論はいりません。
それよりは、オチがなく話題がどんどん変わっていくものなので、気楽に会話を楽しみましょう。
3条 意味はなくてOK
「今この話題を出して何か意味があるかな?」と考える必要はなく、雑談に深い意味なんてありません。
どんな話題をするのかというよりも、リラックスしながらありのままでOK。科学的にも会話することで信頼関係が高まることが証明されています3)。
また、雑談は情報交換でもあります。もちろん看護業務の情報交換ではなく、「〇〇のハンドクリームすごくいいですよ」といった気軽なもの。
雑談は深く考えることも、意味もなくていいのです。
4条 サクッと終わるのが雑談
「もうすぐ休憩時間終わるけど、話がうまくできない」という負い目は感じる必要はありません。
時間が迫っている時は、最後の会話に「そうですよね~」と相槌を打って「私、〇分で休憩が終わるので」と切りかえてしまってもOK。
いつまでも会話をし続ける必要はありません。
5条 誰も傷つかないネタがGOOD
人が多ければ多いほど、人間関係が複雑になるのと同様に、意見の相違が起こるのは仕方のないこと。
時には腹に据えかねることが起こり、休憩室で誰かに聞いてもらいたいと思うかも知れません。
しかし、雑談は「明るく」「楽しく」がモットー。誰かが傷つく恐れのある話題は避けましょう。
これで話せる!雑談のコツ
ここでは具体的な雑談の方法について、どのような会話をすればいいのかご紹介します。
①まず肯定!共感ポイントをつかんで返す
雑談は、話題について正しいかどうかを議論することではありません。基本的には「そうですね」と相槌を打ちながら肯定します。
相手の話題に共感するポイントを見つけて、「そういうのは嬉しいですよね」と返すのがコツです。
続けたくない話題なら、否定ではなく「そうですね~。で、〇〇さんが…」と話を変えてみましょう。
②「髪切りました?」は万能質問
ヘアスタイルを変えた翌日は、「誰か気づいてくれるかな」とドキドキするもの。
「髪切りましたね。素敵ですよ」
と、声をかけられて不愉快になる人はいないのではないでしょうか?
さらに「最近は前髪を薄くつくるのが流行りみたいですね」と話を広げてみるのもいいかもしれません。
③雑談は連想でどんどんつなげる
雑談の究極のコツは、連想でつなげていくこと。
「昨日、ランチしたイタリアンのお店が美味しかったです。今度の歓迎会にどうでしょうか?」
と思いつくことをポンポン出してみましょう。
ただし、連想すると止まらなくなることも。
④ニュースの時事ネタを話題に
ニュースの話題は格好の雑談ネタ。
誰でも知っている時事ニュースに触れ、
「最近、災害が多いですよね。何か防災の備えをしていますか?」
と問いかけてみます。
きっと意見がそれぞれあるはずなので、勝手に盛り上がるかもしれません。
⑤潤滑油は「コーヒー淹れましょうか?」
いよいよ話題が思い浮かばない時は、
「お茶入れましょうか?」
と気遣いの言葉を。
続けて
「休憩室のコーヒーおいしいですよね」
と思ったままを言えば
「それ主任さんのこだわりの豆みたいよ」
など、会話がつながるかもしれません。
休憩室にあるお菓子を取り上げて
「このお菓子おいしいですね~」
という会話も場が和みますよ。
⑥沈黙に耐えられない時のアクション
たまたま会話が途切れ、休憩室がシーンとなることがあります。
沈黙に耐えられない人は、大きく伸びをして
「疲れましたね!午後からもオペ出しありましたよね。頑張ろうっ!」
と前向きな声掛けをして、サクッと雑談を終えましょう。
そんな切り替えができるようになったら、すでに雑談上手です。
一方で、ゆっくり休みたい人は沈黙なんて気にしていないことも。
おわりに
楽しい雑談は仕事へのモチベーションにつながり、人間関係も良好にします。
会話が苦手と感じる人はぜひ本記事を参考にしてみてください。きっと毎日のちょっとした会話が楽しみになるはずです。
参考文献
1) 岩田幸代他;医療専門職のモチベーションとその規定因に関する―考察:職種間比較分析を中心に,商大ビジネスレビュー.2013, 2(2),p 225-235.
2) 鬼塚佳奈子,高木修:医療安全とチームワーク : 看護師チームからの一考察,セミナー年報, 関西大学経済・政治研究所.2009,p 33-42.
3) 片桐恭弘,石崎雅人他,会話コミュニケーションによる相互信頼感形成の 共関心モデル,認知科学.2015,22 (1),p97-109.
4)斎藤孝:雑談力が上がる話し方,ダイアモンド社,2010.
~ライタープロフィール~
【秦さきよ】ナースLab認定ライター
1980年生まれ。看護師・保健師。糖尿病内科、血液透析室、特定保健指導を経験。現在は看護非常勤講師を務めるかたわら、ライターとして活動中。日々の生活に欠かせないものはヨガ。
ブログ:https://ameblo.jp/hatahata-books/