「若い後輩の気持ちがわからない」経験を重ねていけばいくほど、こんな気持ちになることはありませんか?年々ハラスメントへの意識が高くなっていますが、それを気にして言いたいことが言えないこともあるかと思います。でも、それでは満足な指導ができない!そんな葛藤を抱えている皆さんに、すぐに使えるやる気を引き出す関わりをご紹介します。
目次
・Z世代の気持ちを知ろう!
Z世代とは、1990年後半から2000年代に生まれた人を指す言葉です。ちょうど、今の新人さん達あたりの年齢ですね。そんなZ世代の方たちは、
・デジタルにめちゃくちゃ強い!
・SNSを最大限に活用しているため、警戒心も強いがリテラシーも高い!
・自分らしさを表現できるもの、環境を好む!
・デジタルではなく、リアルな体験への憧れが強い!
といった特徴があると言われています。ここに、Z世代と関わるためのヒントが詰まっています!
・新人さんの「目指している看護師像」を聞く
今までの指導だと、まずはマニュアルの説明や具体的なケア方法を教えていました。
けれど、Z世代の人は「自分らしく」カスタマイズされたものに、意欲的に取り組んでくれます。
ですので、まずはその人らしい「目指している看護師像」を聞いてください。
「〇〇のスペシャリストになって、世界で活躍したい」「入院していた時の看護師さんのように患者さんに寄り添える人になりたい」など、それぞれ違っていてOKです。
ここは、全てを受容するフェイズになります。新人さんの想いを受け止めてください。
・「目指している看護師像」になるために何が協力できるのか考える
次に、「目指している看護師像」になるために、何ができるか、どんなところで協力できるかを考えていきます。例えば、救命救急のスペシャリストになりたい新人さんがいたとしましょう。
けれど勤めているのは一般病棟。やっていることと目指す方向にずれがあるかもしれません。でも、その中で急変対応の研修だったり、救命救急に活用できる全身管理についての経験だったり、共通するところはたくさんあります。
「目指している看護師像」になるために、今の病棟でどんなところが協力できるか具体的に伝えてあげてください。
・「目指している看護師像」に加えて、病棟で何を期待しているのか伝える
新人さんの「目指している看護師像」を叶えることは素晴らしいことです。けれど、それだけでは、今いる病棟で活躍できないこともあるかと思います。
ですので、今後はこちら側から新人さんに「期待していること」を伝えていきましょう!
先ほどの例で言うと、「救命救急ではケアや介助のスピードが重要。だからこそ、今の病棟で、まずはゆっくり確実に患者さんに関わる技術を身に着けてくれるのを期待しています。そのためにまずは、基本的な清潔介助を身に着けてほしいです」など、あくまで「目指している看護師像」の途中過程であることを伝えながら、学んでほしいことを伝えていくのがポイントです。
・まず何からやるのか二人で共有する
「目指している看護師像」に向けて、やれること、やってほしいことを交えながら、まずは何に取り組んでいくのか決めてもらってください。もちろん、あなたの意見も伝えてOKです!
その際「〇〇をやりなさい」だと反発してしまうので、「〇〇をやってくれると、私達は助かるんだけど、どう?」といった提案する形で伝えていきましょう!Z世代は社会貢献したいという欲求も強いので、きっとすすんでやってくれるはずです。
このように関わっていくことで、新人さんは「自分用にカスタマイズされた指導」を受けていると感じ、目指している看護師像に向かって存分に力を発揮してくれるはずです!
まとめ
昔ながらの画一的な指導では、Z世代は決して動いてくれません。
ですので、新人さんの人格を尊重しモチベーションを引き出しながら、病棟での役割も果たしてくれるよう関わっていく必要があります。
たったこれだけで、新人さん達が自ら頑張ってくれるはずです!ぜひ、新人さん達の発揮してくれる素晴らしい力を存分に感じてもらえたらと思います!
ライタープロフィール
【秋元 伸平(くるまじ)】看護師 コーチ セミナー講師
1985年生まれ。神奈川県出身。東大病院で管理職をする傍らコーチングに目覚め、今はコーチ、セミナー講師として独立。2022年4月には日本メディカルコーチコミュニケーター協会の代表理事に就任。「医療者全てが自己実現できる社会」を作るべく邁進中。プロの小説家、フォトグラファーとしても活動中。