看護師のお給与の仕組みをわかりやすく解説!診療報酬改定2024

ナースライター 西山妙子
ナースライター 西山妙子
看護師のお給与の仕組みをわかりやすく解説!診療報酬改定2024

皆さんのお給与がどのように発生しているか知っていますか? 自分たちの看護行為がいくらに換算されているのか意識することはありますか? 病院、介護サービスは診療報酬・介護報酬として患者さんの自己負担と皆さんから集めている社会保障費(保険料)の負担で成り立っています。2024年4月は6年に一度の診療医療・介護・障害福祉サービスのトリプル改定であり、注目が集まっています。今回は看護部長の経験がある筆者が診療報酬についてと2024年における改定のポイントを解説します。



入院基本料

一つひとつの看護行為に報酬はついていないことはご存知ですか? 実は病棟にどのくらいの看護師が配置されているかによって支払われる報酬(1日の入院基本料金)が違います。

例えば、急性期一般病棟(看護配置7:1)であれば患者7人に対して1名の看護師が対応します。これは1日24時間を8時間の勤務で区切った場合の計算であり、1日3人で7人の患者さんを看護するわけです。50ベッドあれば1日あたり最低の看護師の数は延べ21名、夜勤は16時間で同じ看護師が勤務するとなれば、延べ17名の看護師が対応していることになります。


入院基本料

あなたの病棟における夜勤の人数は何人ですか? 例えば4人ですと、12名が日勤の人数、看護師一人当たりの受け持ち患者数は均等割で4~5名が平均となると思います。実際はもう少し多い人数が働いているかもしれません。リーダーや入退院調整の看護師、師長さんもいますよね。

このように、実は診療報酬上は病棟にいる看護師の人数を評価されています。一人ひとりの能力の違いや勤務時の業務量に合わせて報酬が増減しません。ですから病院では標準看護を提供し、サービスの質の均等化を目指す必要があるのです。これが後輩の教育や自己研鑽が必要な理由の一つなのだと私は思っています。



看護必要度

次に知っていて欲しいのは、患者さんの重症度に応じて看護師らの頑張りを評価してくれていることです。

同じ急性期病棟でも50人全員が耳鼻科の場合と整形外科の場合で考えてみましょう。患者さんそれぞれの病状はさまざまですが、A D Lが自立している患者さんが多い耳鼻科病棟と全介助が必要な骨折の患者さんが多い整形外科病棟が同じ診療報酬なのは違和感がありますよね?そこで出てくるのが「看護必要度」です。

患者さんそれぞれの重症度を項目化し、重症度の高い患者さんの割合が多い病棟はより高い診療報酬となります。実は急性期病棟には6つの区分が存在しています。面倒だと思っているチェックや記録も実は診療報酬をもらうために必要不可欠な業務なのです。


看護必要度

このように入院基本料は配置人数(7:1~20:1)と、地域包括病棟や回復リハビリ病棟など病棟の種類、看護必要度や入院日数、在宅復帰率など細かい項目の組み合わせで決まっています。例に出した、急性期一般病棟では6つの区分があり、区分ごとの報酬の差は1,688点~1,404点と1日で284点(2,840円)、50名の患者さんがいれば14万円以上も収入の差が生まれます。差分が看護師の人数の差や重症度の差に充てられるのも納得です。



朗報!2024年改定のポイント!

ズバリ、2024年の改定によって看護師の給与アップに期待が持てそうです。
今回の改定では「現下の雇用情勢も踏まえた人材確保、働き方改革等の推進」が重点課題と打ち出されました。具体的にプラス改定0.88%の内訳0.61%は賃金アップに充てられることが決まっています。物価高騰などへの対応として、令和6年のうちに2.5%、令和7年までに2.0%ベースアップすることが条件で新たな報酬が策定されました。このベースアップについては医療機関それぞれが取り組み申請する必要があります。


急性期7:1の病棟では看護必要度B項目の廃止が決まりましたが、評価表などのチェックは引き続き必要そうです。


地域において、特に高齢の救急患者さんを受け入れることができる「地域包括医療病棟」が新設されます。
リハビリテーション、栄養管理、入退院支援、在宅復帰等の機能を包括的に担います。看護師の配置は10:1で、専属の栄養士や常勤の2名以上の理学療法士、作業療法士または言語聴覚士が必要となります。より多職種が協力し、カンファレンスなどで意見を出し合い、早期の在宅復帰を目指していきます。



まとめ

お恥ずかしい限りですが、私は看護部長になるまで診療報酬の仕組みについて考えたり勉強したりすることはありませんでした。病院の運営なんてまったく考えず「こんなに忙しいのに給与安すぎじゃないか!」と本気で思っていました。しかし、少し視線を変えることで「この業務がこんな加算につながっている」ことを知ると、よし、給与のために頑張ろう! とちょっと前向きに思えるかもしれません。


引用、参考資料:令和6年度診療報酬改定 【全体概要版】 厚生労働省保険局医療課 令和6年3月5日版



ライタープロフィール

【西山妙子 (にしやまたえこ)】ナースLab認定ライター
総合病院の外科、脳外科、I C U、大学病院支出室を経験し結婚、子育てを経て訪問看護の道へ。199床総合病院の看護部長を経験した。現在は訪問看護ステーションに非常勤として働く。看護師の横のつながりや多様な働き方、ライスタイルを提案するナースのためのオンラインサロン「ナースライフバランス研究室」を2017年より企画運営(現在会員約1500ほど)ナースまつり2024大会長。

ナースまつり2024 https://nurse-matsuri.com/


メルマガ登録

おすすめ記事や最新情報をお届けします。

メルマガ登録

公式LINE

おすすめ記事や最新情報をお届けします。

友だち追加