患者さんが困ったときや緊急のときに対応するためのナースコール。痛みや体調の変化などに対応したり、トイレ介助など日常生活をサポートするために使用したり、患者さんが快適な入院生活を送ったりするための重要なツールです。この記事では、看護師と患者さんをつなぐナースコールにまつわるあるあるエピソードをご紹介したいと思います。
目次
誰もいないはずの病室からのコール
誰もいないはずの病室からナースコールが。恐る恐る病室のドアを開けるもやはり誰もおらず。日中でもびっくりしますが、夜勤帯だと余計に恐怖心が増します。スタッフの人数が少ないので、他の夜勤者に付き添いを頼むわけにもいかず、恐る恐るコールの鳴った病室へ行くことも。機械の誤作動なのでしょうか。もしかするとこのような経験をしたことがある看護師は多いのかもしれませんね。
夜勤帯のセンサー反応コール
認知症の患者さんには転倒予防の観点から、動いた時に反応するセンサーが設置されていることがあります。昼夜逆転傾向の患者さんは、夜に過活動になる人も多く、ベッドから離床しようとするとセンサーが反応。ナースコールが鳴れば様子を見に行かないわけにはいかないので、ナースコールが鳴るたびに訪室。ウロウロする患者さんを説得して臥床してもらうも、数分も経たないうちにまたナースコールが。夜勤帯はスタッフの人数が少ないため対応が大変ですね。
「もしも~し」と聞こえる声
たびたびナースコールを押してくる患者さん。常にナースコールを握り締め「もしも~し」と言っています。訪室するとキョトンとした顔をして「なんですか?私呼んでませんよ?それより、息子に電話しているんですけど、全然つながらなくて...」と言ってナースコールを握り締めている患者さん。ナースコールを電話と勘違いしているようです。
頻回なトイレコール
「トイレに行きたいんですけど~」とナースコールが鳴り、訪室。トイレ介助を終え、詰め所へ戻ろうとした矢先、同じ患者さんから「トイレお願いします」とナースコールが。排尿は済ましたばかりなので、次は便意をもよおしたのかと思い訪室すると、「おしっこ行きたいです」と。その後も頻回に「トイレお願いします」とナースコールの嵐。頻回なトイレコールで悩む看護師は多いのではないでしょうか。
「お願いしまーす!」のナースコール
寂しさもあり手持ち無沙汰なのか、たびたびナースコールを鳴らしてきて「そこのコップ取って」「ちょっと時計がおかしいみたい、見てくれない?」などという患者さん。自分で動けるのでコップも取れるはずなのですが、なぜかたびたびナースコールを鳴らすのです。
先輩からのご指名
病棟内でも有名な、少し手のかかる患者さんからナースコールがあるとスタッフがみな、ソワソワしているのがわかります。ナースコールが鳴ると急いで詰所を出て別の患者さんのところへ行くスタッフやパソコンにかじりついて記録しているフリをするスタッフ。そういうとき、必ずといっていいほどターゲットになるのは若手スタッフです。ベテランの先輩から「◯◯さん呼んでいるわよ。行ってきて」とご指名が。嫌とは言えるはずもなく、しぶしぶ対応するのは若手の運命でしょうか。
面会者が帰るとすぐにナースコール
普段からナースコールの回数が多い患者さん。面会者が来ているときはナースコールを鳴らしませんが、面会者が帰った途端「すみませ~ん、ちょっとお願いします~」とナースコールを押してくる患者さん。とくに用事があるわけではないのですが、入院生活による不安やストレスから気持ちが不安定になっているのかもしれません。
動きが素早い患者さん
センサーが反応しナースコールが鳴ったため、急いで駆けつけたにも関わらず、すでに病室の入り口に立っている患者さん。普段のケアではベッドからの起き上がりすら時間がかかるのに、自分の意思で動くときは超ハイスピードで動けるので不思議。
ナースコールを押すのが申し訳ないと思っている患者さん
「何かあればナースコールを押してくださいね」とあらかじめ説明しておいても、気を遣って鳴らさない患者さんがいます。「鳴らすタイミングがわからなかった」「看護師さんが忙しそうにしていたので呼ぶのが気の毒だった」などの声が聞かれます。「こんなことで呼んでもいいのかな?」「迷惑をかけたらどうしよう」と思う患者さんもいるようです。具体的にどのようなときにナースコールを鳴らせばいいのか伝えるのもひとつです。必要なときにはナースコールを鳴らせるように普段からこまめに声を掛けておくといいですね。
まとめ
ナースコールは患者さんと看護師をつなぐ大切なものですが、気遣いからナースコールがうまく活用されないことも。一方で、頻回なナースコールやナースコールの認識がズレており振り回されることもあるかもしれません。いずれにせよ、患者さんに安心して入院生活を送ってもらえるようナースコールの使い方の説明やその都度声掛けが必要かもしれませんね。
ライタープロフィール
【東 恵理】ナースLab認定ライター
看護師、保健師、介護支援専門員。 国公立大学看護学科卒業後、総合病院にて手術室、外科病棟を経験。その後、小規模多機能型居宅介護施設へ。在職中に介護支援専門員資格取得したことをきっかけに、在宅分野に興味を持ち訪問看護へ転職。一つの働き方に縛られず、フレキシブルな働き方を目指し、ライター業に挑戦。 現在、訪問看護で非常勤として働きながら看護学校非常勤講師や介護士向け研修の講師も務めている。一児の母。
ナースLab:https://nurselab.net/home