看護師として経験を積み重ねていく中、新たなステップとして任されるリーダー。スタッフの中心として、病棟全体の把握、業務調整、医師からの指示受けなど重要な役割を担います。リーダーを任されたということは、周りから働き方が認められた証。しかし、新たなチャレンジは不安や戸惑いがあります。そこで今回、リーダーをはじめた頃のあるあるネタについて集めてみたのでご紹介いたします。
目次
1.不安で出勤時間が早くなる
病棟全体のことを把握するためには、患者さんのことを知っておく必要があります。ただ、全員のカルテから情報収集をするのは時間がかかるため、出勤時間は早くなりがち。一方でリーダーを余裕でこなす強者の先輩は、勤務開始ギリギリの時間にすました顔でやってきます。その堂々とした態度には、長年の経験や勉強からくる自信を感じさせます。短時間であらゆることを正確にこなしていく仕事ぶりを見て、どんどん学んでいきましょう。
2.他の新米リーダーと自分を比べてしまう
部署の方針によっては、数人が同じ時期にリーダーを始めることがあります。今まで励まし合いながら一緒に頑張ってきた仲間に対して、「○○さんは上手にリーダー業務がスムーズ。それなのに私なんて・・・」と卑屈になることも。不安で自信がなくなると、他人と比べて落ち込んでしまうかもしれません。ただ、それも新しいことにチャレンジしているからこそ思うこと。始めたばかりでも順調に仕事をこなすスタッフがいたら、コツを聞いてみるのがオススメです。
3.自分の時だけ病棟が荒れる
リーダーの時に限って、やたらといろんな出来事が起こることはありませんか?ただでさえ慣れてないリーダー業務に加えて、患者さんの急変、緊急処置、インシデント、入院といったイベントでパニック状態に。周りのスタッフから、お祓いをすすめられることもしばしば。ただそんな経験ができるからこそ、看護師として、人として成長していけるというもの。ピンチはチャンスと考えて、自分のスキルを磨いていきましょう。
4.リーダー業務以外の楽しさに感動する
始めのうちは、慣れるまでほぼ毎日リーダーということがあります。リーダーをしていると、患者さんのベッドサイドに行ける時間が限られてしまいます。リーダー以外のメンバーになると、患者さんの話をじっくり聞いたりケアに入ったりすることで、看護の楽しさややりがいを改めて再発見できます。
5.医師とのやりとりに戸惑う
良い医療やケアを提供するためには、医師―看護師間のスムーズなコミュニケーションが欠かせません。リーダーになると、メンバーの時より医師と関わる機会が増え、相談や依頼をすることも多くなります。まだお互いの信頼関係が出来ていないうちは、どのように連携をとればいいか迷ってしまいますよね。そんな時は、先輩ナースにそれぞれの医師との付き合い方を教えてもらいましょう。声のかけ方やタイミング、相談の仕方など、特徴がわかってくると人間関係も築きやすくなります。
6.職場からの「着信あり」に恐怖を覚える
リーダーを終えて帰宅したら、スマホに病院からの着信メッセージが…。ミスをしたかもしれないという不安で、一気に血の気がひいてきます。とにかく電話がかかってくるということは、急ぎの用事なはず。深呼吸して自分を落ち着かせたら、すぐにかけ直して用件を解決するようにしましょう。
7.漏れがないか確認するために結局残業
医師からの指示受け、翌日の手術、検査、処置の準備など、リーダーがすることは山のようにあります。直接患者さんに影響が出る業務も多く、やり忘れは厳禁。はじめのうちは確認するだけでも時間がかかり、定時になっても終わらないことがよくあります。メンバーがぞろぞろと先に帰っていくのをうらやましく思いながら、さみしく業務をこなす日々が続きます。それでも慣れていけば徐々に仕事も速くなっていきますので、焦らず一つずつ仕事を覚えていきましょう。
8.頼みやすい人に仕事をお願いしがち
必要に応じてメンバー同士の業務調整をするのも、リーダーの大事な役割です。スタッフの能力や仕事量、休憩時間などを考えつつ、ケアや処置を分担していきます。しかし、スタッフによって業務をお願いしづらいことがあります。普段から話すことが少ないスタッフや厳しい先輩には、遠慮してしまうことも。慣れないうちはついつい気持ちよく引き受けてくれる同期や後輩に甘えてしまいます。ただ度が過ぎると不満がたまってしまうので、ほどほどにしておきましょう。
9.厳しい先輩が救世主に!
指導に熱心なスタッフは、後輩から怖がられてしまうこともあります。同じ勤務で働くというだけで、緊張感が走る存在。ただそんな一生懸命な先輩だからこそ、何かあったときにはとても頼りになります。リーダーの経験を経て初めて、その先輩の偉大さやありがたさを実感することでしょう。
10.自分と後輩だけの夜勤は恐怖でしかない
リーダーが始まると、先輩が一人もいない勤務に遭遇することがあります。人数が少ない夜勤では特にその可能性が高く、自分と後輩だけで乗り越えなくてはならないことも。もちろん他の部署のスタッフや当直看護長に相談することもできますが、自力でなんとかできるような準備をしておきましょう。例えば患者さんの状態変化や突然の出来事なども、予測できる範囲でどんな対応をするか決めておくことをおすすめします。
11.自分の勉強不足を思い知る
メンバーの役割は十分にこなせるようになってきたとはいえ、リーダーが始まるとまだまだ知識が足りないと感じるかもしれません。患者さんの治療方針について医師や管理者と話す機会が増え、病態やフィジカルアセスメントの深い理解が必要になるからです。そして勉強すればするほど、知らないことがどんどん出てきますよね。進歩し続ける医療についていくためには、学び続ける姿勢が大切です。だからと言って、むやみに心配する必要はありません。新しく知識や経験を積んでいくための、成長のチャンスと考えていきましょう。
12.全体の動きがわかる
リーダーをしていると、スタッフがどのように仕事に取り組んでいるかがわかってきます。自分の立場が変わることで、今までとは違った視点でものごとが見えるようになるもの。勤務中ずっと一生懸命な人もいれば、中には少し手を抜いている人もいて、嫌でも気づいてしまうこともあります。ただ、もし自分がこうして欲しいと思っても、人は簡単には変わりません。それぞれの看護師の特徴を理解したうえで、リーダーとしてどう関わっていくかを考えていきましょう。
13.まとめ
リーダーは、看護師として大きく成長できるチャンスです。もちろん業務は多く責任も重いですが、その分やりがいもあります。今回のあるあるネタを参考に、これからのリーダー業務に取り組んでいきましょう!
~ライタープロフィール~
【野田裕貴】
大学病院で11年勤務し、血液内科、緩和ケア、ICUを経験。新しい働き方にチャレンジするために、看護師ライターへ転身。現在はWEBサイトへの執筆、看護大学の非常勤教員、老人保健施設の夜勤を兼任するパラレルワーカー。多くの人の最期に関わってきた経験から、人生や命について情報発信するメディアを運営中。
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