4月は就職、転職、異動など新しい職場に配属されることが多い時期です。職場の見学をしていても働くとなればまた別の話。実際にどんな職場なのか、どんな人がいるのかは入ってみないとわかりません。「仕事を覚えられるのか?」「職場の人と仲良くなれるのか?」と考えれば考えるほどに不安になりますね。今回、転職を10回経験した私が、すぐに溶け込めるコミュニケーションのコツをお伝えいたします。
目次
1.コミュニケーションの基本を知り第一印象をつくる
そもそもコミュニケーションはどういうことなのでしょうか?辞書によると『人間が互いに意思・感情・思考を伝達し合うこと。言語・文字その他視覚・聴覚に訴える身振り・表情・声などの手段によって行う。』です。(三省堂大辞林第3版より引用)ポイントは、お互いに伝え合うことです。一方的では成り立たないということがわかります。また、言葉だけでなく自分自身の表情や声のテンションも大切なことがわかりますね。
まずはイメージしてみましょう。
- ・新しい職場に入ってあなたがスタッフの前で自己紹介する時。
- ・髪の毛がボサボサ、うつ向き加減で表情暗く、声もボソボソと話したら?
- ・身なりを整えて、前をしっかり向き、笑顔でハキハキと話したら?
それぞれ相手にどんなイメージを与えるか想像できます。私なら勤務初日はナチュラルメイク、派手すぎない髪色、会う人に挨拶をしてハキハキと笑顔で話します。
アメリカの心理学者が発見したメラビアンの法則では、人は相手に見た目で5割、声と話すトーンで4割のインパクトを与えることができると言われています。つまり、第一印象をどのように取られたいのかということも実は自分でつくることできるのですね。入職時の自己紹介はあなたの印象をつくるために大切な場面。1分以内で簡単に話せたら上出来です。苦手な人は鏡を見ながら練習しましょう。
2.受け入れる側も実は不安!さて、あなたはどんな人?
「今日から新しい職場へ!」はじめてで不安なのは受け入れる側も一緒。だからあなたがどんな人なのか興味津々です。
- 今までどんな経験があるのか?
- どのぐらい仕事ができるのか何が得意で何が苦手なのか?
- さらには家族の役割によって定時で帰らないといけない人なのか?
- 週末は休みたい人なのか?
- 夜勤もできる人なのか?
- 一緒に仕事する上でそれぞれのスタッフ自身にどう影響するのか?
など様々なことが知りたくて仕方ありません。
とくに「前の職場を辞めた理由は?」については最も興味深い内容。なぜなら理由によっては、また辞めてしまうかもしれないと思うからです。そのため、不安を与えるような否定的な発言はせず、前向きな理由で答えることができれば百点満点です。
各職場にいる聞き出し上手な人へ自分が伝えたい情報は惜しまず伝えましょう。相手はあなたへの好奇心と自分にとって味方なのか敵なのかを知りたくて仕方ないのです。「この職場で一緒に頑張りたいです!」が伝わると味方になってくれる可能性も高いですよ。
また、転職した際に、看護部長に伝えていたことが師長にきちんと伝わっていないことがあり、再度同じことをお願いした経験があります。大切なことは確認し必要があれば何度も伝えることが大切です。
3.早く信頼されるために!自分はどんな人に思われたい?
職場に早くなじむためにはお互いのことを知り、信頼関係を築くことが大事です。
相手の信頼を得るためには、看護技術や手技がどのぐらいできるのかを見ていただき、アセスメントしたことをその都度伝えます。考えや実施したいことのズレがないかを確認してから行動することをおすすめします。一つ一つの行動を自己判断せずに、あなたの看護観やアセスメントしたことを明らかにすることで、何を考えているかが相手に伝わりコミュニケーションを円滑にできます。
相手の不安を少なくするために、自分から伝える努力をすることが信頼度を上げるために大切なことです。これまでの経験から、どこまで理解し、どのように対応するのか、そのことに対して今までと同じやり方なのか、違うのかを一つずつ丁寧に確認することで小さな信用を積み重ねることができます。
また、信頼関係を作る上で最も大切なことは嘘をつかないことです。看護技術や対応した疾患など、全てできる人はほとんどいません。経験のないことは素直に「分かりません」ということが大切です。知らないことを伝えることは恥ずかしいことではありません。どんなベテランでも同じことです。そして、一つの嘘が身を滅ぼすことになるかもしれません。「経験はないけど覚えていきたい」と前向きな姿勢は意欲を見せ、好印象を相手に与えましょう。
自分がどんな目的、目標があって働くことになったのか日頃のコミュニケーションの中で伝えておくことが大切です。例えば私の場合は、冬はスノーボード優先ですが、患者さんに寄り添うために老年看護や認知症ケアも学びながら頑張りたいということを伝えています。一方的な希望ばかりでなく、相手からの目線を考えながら伝えることで、お互いの距離もグッと縮まります。
4.良好なコミュニケーションを築く基本は2つだけ!
相手が最も知りたいのは「あなたがどんな人なのか」という部分です。ここがしっかり伝わっているのかが重要なポイント。
全てを話す必要はありませんが、人は隠されたことをさらに知りたくなるもの。答えられる範囲でさらっと話しておく方が無難に過ぎることもあるので、タイミングに合わせて答えましょう。
また、人と人の間には誤解が生まれやすいです。1度伝えたことで満足せずに、「相手にどう伝わっているのか」を確認します。人は聞いているようで聞いていないことも多いということも知っておきましょう。
5.まとめ
新しい環境になじむにはお互いの不安を減らすためにコミュニケーションが必要不可欠です。自分自身がどのような人間なのか、どのように職場で力を発揮できるかなどを明らかにして、伝える努力をしましょう。できないこと、わからないことは素直に伝えて、教えてもらうことで信頼は築けます。まずは笑顔と挨拶がきちんとできれば、好印象を得ることができるので意識して職場で味方を増やしましょう。
【松井英子】ナースLab認定ライター
看護師になってからスノーボードにハマり、27歳からスポンサー契約する。10年近く期間限定の派遣看護師として多くの職場を経験し、医療や介護の場を経験する。ライフスタイルの変化から現在は群馬に移住し、地方病院で高齢者医療に携わる。 ストレスフルな環境だからこそワークライフバランスが大切であることを伝えたいと思い、仕事もプライベートも楽しむコツを発信。オンラインサロンのナースLab→にてイベントの企画や運営も行っている。