フットケアしてますか?見落としている転倒予防対策

ナースライター 木嶋千枝
ナースライター 木嶋千枝
マスクの基礎知識~マスクの種類(形状/素材/名称別)正しい着用例と交換のタイミング~

患者さんや利用者さんの足元を観ましょう!そう言うと、「そんな暇ないよ~」「フットケアって時間がかかるし」って反論が沢山聞こえてきそうです。医療機関でも訪問看護でも介護現場もタスクに追われてフットケアの時間がないですよね。今回の内容は見逃すことで一層忙しくなってしまうかもしれない『時間がないからこそ意識する価値がある』大切なことをご紹介します。



足を見よ!爪の長さ、タコ・乾燥の有無、靴サイズ

質問です
ーもし、患者さんや利用者さんの健康寿命が足や靴で変わるとしたら?
ーもし、3分の爪切りをすることで2ヶ月間の創傷処置が不要になるとしたら?
ーもし、足切断や転倒に「足の状態」や「靴」が関係していることを知っていたら?

皆さんは、それでも「時間がない」と言いますか?

足の状態や靴のサイズ適合はとても重要です。
個人的には、患者さんや利用者さんの人生を左右すると思っています。
患者さんのADLやQOLを高めるために日々頑張っている方々が、「そんな暇ない」と足を見ようとしなかったら・・・それは、残念としか言いようがありません。



「足」を意識することは患者さんの生活を守る手段の一つ

爪が長い...たったこれだけのことが、爪割れや爪剥がれを引き起こしたり、自分の足に食い込んで傷を作ってしまったりしています。当然のことながら足の状態一つで歩くことが叶わなくなったり、動きたくなくなったりするのです。



「足」を意識することは患者さんの生活を守る手段の一つ

そしてそれはどんな時間を積み重ねどんな自分でいたいのか、どんなことを大切にしている自分でいたいのかというACP(アドバンスケアプランニング)にも影響を及ぼします。自分で解決できるか、ケアできるかにこだわる必要はありません。大切なのは、患者さんが必要とするケアのタイミングを逃さないことです。



母趾のトラブルが転倒のリスク

※研究データ・根拠 引用1)
資料1)「母趾の異常の有無と開眼片足立ち時間」

母趾の異常の有無と開眼片足立ち時間

資料2)「母趾の異常の有無と趾間力(男性)」

母趾の異常の有無と趾間力(男性)

こちらの資料1)2)は、母趾のトラブルの有無で開眼片足立ち時間や趾間力を運動の能力の差を調べています。ここからわかるのは、外反母趾・陥入爪・肥厚爪・疼痛がある人はない人に比べ、開眼片足立ち時間、趾間力とも低いことがわかります(*趾間力は外反母趾で有意差なし)。

趾間力は鼻緒の部分で親指と人差し指で挟む力を測定したものです。日常生活で片足立ちとか趾間力を必要とすることはないように感じている方もいるかもしれないので、少し補足します。

片足で立っていられるかどうかは足全体を使っていかにバランスを取れるか、趾間力は歩行時地面を掴む力になります。そのため、これらのデータから足趾を使って安定した歩行ができるかどうかを推測ができます。

この研究結果から、母趾のトラブルがない人はある人に比べ歩行が安定していることが推測できます。つまり、母趾のトラブルが転倒とも関連していることが考えられるのです。

一般的には爪が厚くても「ただ厚い爪」「切りにくい爪」と思われて終わりです。しかし、看護師には爪の厚さや形状は看護に活かす重要な情報の一つとして転倒や全身状態と関連づけたアセスメントを期待します。厚い爪が切りにくくてご苦労を経験している方もいらっしゃると思います。ぜひ、機会がありましたら便利な道具やケアのスキルを身につけていただきたいと思います。



リハビリを中断!? Tさんの場合

事例1:回復期病棟でリハビリを頑張るTさん 80代
Tさんは毎日歩行練習を継続して歩行状態が安定してきました。しかし、ある日担当者が訪室して掛け布団を剥がすと、シーツが血だらけ……。出血したところを探すと、親指の爪が何かに引っかかり剥がれかかり根本だけくっついた状態でした。原因は爪が伸びて衣類や布団にかかったことが考えられました。Tさんは足が痛いし、爪のところを処置されていて靴も履きにくいし、歩行練習はしたくない、リハビリはお休みしたいと言います。
でも、「せっかくここまで改善してきたのに、今休んだら・・・」と皆さん思いますよね。そして、私たちも毎日処置に時間を費やさねばなりません。後悔先に立たずです。

少し先を考えてみましょう
もしも、Tさんの心が折れてこの後リハビリをする意欲がなくなってしまったら?
もしも、Tさんが糖尿病や血流障害を抱えていたら?
もしも、Tさんが血液サラサラの薬を内服していたら?

考えるだけで変な汗が出てきそうになるのは私だけでしょうか?



患者さんの訴えを待たない

患者さんの訴えを待たない

日常生活の中で、足を意識している方はとても少ないのが現状です。高齢者や糖尿病性経障害などがあると傷ができていても気づきにくい特徴もあります。だからといってナースが全て担う必要はありません。患者さんに関わるナースや介護者、多職種様々な人たちが連携してケアにつなげていくことが重要です。



多職種・多業種で足を観察し、予兆やトラブルを見逃さずに気づける環境とそこからどうケアにつなげるかをぜひチーム考えてみませんか?

引用1)Imai A,Takayama K,et al:Ingrown nails and pachyonychia of the great toes impair lower limb functions:improvement of limb dysfunction by medical foot care.int JDerm,50:215-220,2011より



ライタープロフィール

【木嶋千枝(きじまちえ)】 Abeby 代表/大誠会内田病院
健康維持や健康寿命延伸には身体の基礎部分である足や靴が重要で、靴の履き方や選び方などの生活習慣が要なんだと声を大にする慢性疾患看護CNS。
自分らしいと思える時間を積み重ねてもらうためには足育が必要だと一念発起し、病院を飛び出し2019年Abeby起業。寄り添う看護を目指して取得した日本認定心理士や日本糖尿病療養指導士としての知識や技術を最大限に活かして、啓発活動や教育にも力を注いでいる。子どもとおとなの足靴カウンセリングサポートを群馬の自宅で開始。

Abeby(アベビー) ホームページ


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