看護師として長年努めていると、職業柄ついつい気になってやってしまったり、重宝がられて頼られたりして、病院以外の日々の暮らしの中で看護力を発揮してしまった経験は、よくあるものです。
今回は日常で看護師魂が顔をのぞかせてしまったあるあるエピソードをご紹介します。
目次
1.家族が病気! 素早くバイタルチェックとアセスメント
家族が発熱や体調不良になった時、素早く黙々と検温、全身状態の観察、「症状の始まりは?」と問診しながら、体熱感や脈を確認しています。
データがとれれば即座にアセスメント。
受診や看病の時間をスケジュールし、家事などの優先順位を決め、家族に指示を出します。
新米パパやママなら半ばパニックになってしまう子どもの病気でも、小児科経験者ならテキパキと対応してしまいます。
とても頼もしいですが、その冷静さが、家族にとってはちょっとだけ冷たく感じられてしまうことも。
2.家庭内でも感染予防対策がバッチリ
最近の新型コロナウイルスの流行で、家庭内の清掃や消毒など、ルールを作って、家族にもやってもらっている看護師は少なくないようです。
家族がさまざまなウイルスに感染したら、他の家族に感染を拡げないためにサッと隔離。
その後、動線の指示やマスクの外し方、ゴミ箱の指定を行います。手洗い、消毒の仕方も細かく指導、ルールを決めて家族に通達しているとのこと。
あまりの細かさに、うるさがられる時もあるそうです。
3.親戚、友人の医療相談者
体調不良の時や気になる健康診断の結果を受け取った友人からは「どんな病気?」「どうすればいい?」「何をすればいい?」と、診療並の質問を受けることがあります。
時には病院でもらった薬についての説明を求められ、「飲んでも大丈夫?」と聞かれたり。
そんな時は「一度きちんと受診して」「お薬は指示通りに飲んで」「もらった薬は最後まで飲みきって」が決め台詞です。
4.病院嫌いの人を説得要員
病院が苦手な人、病気と診断されるのが怖くて勧めても受診してくれない人は、結構いるものです。
医療関係者ではない親戚や友人から、体調が思わしくないご家族を説得して欲しいとお願いされる時があります。親戚や友人が、喧嘩になるほどご家族に強く受診を勧めたけれど、聞き入れてもらえないため、看護師の専門知識による説明があれば、納得して受診してくれるだろうと考えてのことでしょう。最後の有力な切り札というわけです。
専門知識を用いて説明して納得してもらえることもありますが、説得される人が「素人の言い訳は通用しない」と観念してしまうことがほとんどかもしれません。
5.「良い病院」の選び方相談窓口
大事な家族や自分自身の健康と人生に関わる医師や施設は、最良のものであって欲しいと、誰もが思います。
「合わないな……」と思っても、病院を変える勇気をもつことは案外難しく、またどこに行けばいいのか悩んでしまうもの。
そんな時は内情を知っている医療関係者に相談すれば安心とばかりに、よく相談されます。
しかし看護師といえども、自分の病院のことはわかっても他の病院や先生の評判までは知らないので、選び方のコツやかかるべき診療科を教えることになります。
6.街で体調不良らしき人をじっと観察
通勤電車の中で顔色が悪い人を見つけると、「貧血かしら? 寝不足かしら? 熱でもあるのかしら?」と、分析と経過観察を始めてロックオン。
少しずつ近づいて、いつでもキャッチできる体制を整えるという人もいれば、白衣を脱いでいるときはOFFモードなので、なるべく関わらないで済むように「ああ…何も起こらないで…」と心の中で祈る人も。どちらにしても、観察はしてしまいます。もちろん、命の危険を感じればすぐに行動です。
まとめ
いかがでしたか?
家族や友人にとっては、健康や医療の知識をもった医療従事者が周りにいると安心です。
それが看護師であれば、日常でも実践できる予防やケアを提供できたり、指導したりもできます。
自分自身と大事な家族や友人のために、さまざまなシーンで看護力を発揮していけるといいですね。
ライタープロフィール
【中埜愛子】ナースLab認定ライター
神奈川県在住。NICU、産婦人科に勤務し、出産により退職後そのまま専業主婦に。母業卒業後のライフワーク探しのために、障害児施設でのボランティア活動に参加したり、コーディングを学んだり、医療の知識を生かしたリンパセラピストを目指したりと、思い付くままに様々な業界に首を突っ込む。
中でもブログ運営とクラウドソーシングでのライティングに面白みを見いだし、2022年より専業ライターに転身。絶賛ライティング修行中。
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