2025年4月からスタート!育児・介護休業法改正のポイント解説

ナースライター 黒兎さゆみ
ナースライター 黒兎さゆみ
2025年4月からスタート!育児・介護休業法改正のポイント解説

2025年4月に育児・介護休業法が改正されたのはご存知でしょうか。厚生労働省によると、改正の目的は、共働き・共育ての推進、育児期の柔軟な働き方を推進するためだそうです。本記事では具体的にどのように改正されたのか、改正された背景とともに詳しく解説していきます。



育児・介護休業は労働者の権利!

「育児・介護休業法」とは、育児や家族の介護を理由に仕事を続けづらくなるのを防ぐために定められた法律です。労働者が一定の期間、休業を取得したり労働時間を短縮したりするなどの権利を保障します。
仕事と家庭の両立を支援し、労働者が安心して働き続けられる環境をつくることがこの法律の目的です。条件を満たせばパートや契約社員の方も対象です。特に看護師の仕事は、シフト勤務や夜勤など、家庭との両立が難しいと感じる場面も多いでしょう。家庭との両立が困難な中でも、育児や介護のために休業を取得する権利は守られており、職場は労働者の権利を拒むことはできません。



育児・介護休業法が改正された背景

令和4年における総務省の「労働力調査(基本集計)」によると、女性の就業形態は正社員の場合、25-29歳が59.7%とピークでその後減少しています。正社員は減少していますが、年齢の上昇に伴って、パート・アルバイト等の非正規雇用の割合は増加傾向です。正社員が出産、育児のために退職した理由は「仕事と育児の両立が困難だったため」が1位となっています。また「短時間勤務や残業免除の制度が整備されていなかった」、正社員以外では「産前・産後休暇、育児休業の制度が整備されていなかった」が上位に。そして、男性が家事を分担している割合が多い家庭ほど、第2子以降の出産が多い結果となっているため、男性の育児休業取得が推奨されています。
さらに、家族の介護・看護が理由で離職する女性は50~64歳が多く、家族の介護をしながら就労している労働者が増加傾向です。



育児面での改正ポイント

育児面での改正ポイント

育児面での改正ポイントを4つ紹介します。


1.子の看護休暇の見直し

1つ目の改正ポイントは、子の看護休暇の見直しです。従来の対象年齢は小学校就学前まででしたが、改正によって小学校3年生修了まで延長されました。また学級閉鎖や入学式、卒業式に伴うお休みも子の看護休暇として取得できるようになったのです。



2.残業免除の拡大

2つ目は残業免除の拡大です。以前は3歳未満の子がいれば残業が免除されていました。改正後は小学校就学前まで残業免除が拡大されたのです。

この2点は雇用主が就労規則等を見直すように義務付けられています。



3.テレワークの選択肢が追加

3歳未満の子を養育する労働者がテレワークを選択できることになったのが、3つ目の改正ポイントです。こちらは努力義務となっています。



4.育児休業取得状況の公表義務適応拡大

4つ目は、育児休業取得状況の公表義務適応拡大です。今までは従業員数が1000人を越える企業に義務付けられていましたが、今回の改正で300人を越える企業に変更されました。つまり、育児休業取得の適応範囲が拡大されたわけです。今まで制度がなかった職場の就業規則が見直される可能性があるでしょう。

4つの改正ポイント以外に、2025年10月からは3歳から小学校就学前の子どもを養育する労働者に、始業時刻の変更や短時間勤務制度等の措置を講じる義務が追加されます。これらの内容は、厚生労働省が指定した5つの項目の中から企業側が2つ以上の項目を選択し、就業規則を変更することが義務化される予定です。この制度は、子が3歳になる前の1年間の間に企業側が労働者に個別の意向聴取・配慮することが義務となっています。



介護面での改正ポイント

介護面での改正ポイント

介護面での改正ポイントは、2025年4月から介護離職防止のための雇用環境の整備、介護に直面する前の40歳に向けて情報提供が義務づけられたことです。また要介護者を介護する労働者がテレワークを選択できるよう措置を講じることも、改正後に義務化されました。

まとめ

育児期の柔軟な働き方を推進

育児・介護休業法は少し難しい内容かもしれません。詳細は厚生労働省のホームページに載っているので、確認してみてください。法律の改正で、育児・介護に関連した休暇がとりやすくなったり、就業時間が調整しやすくなったりしています。ぜひご自分の職場にある就業規則が変わっているのか調べてみましょう。働きづらさを感じている方が少しでも働きやすくなると嬉しい限りです。


参考文献:

育児・介護休業法等の改正の背景|厚生労働省

育児・介護休業法改正ポイント|厚生労働省



ライタープロフィール

【黒兎さゆみ】ナースLab認定ライター
看護師ライター。看護師10年以上。3児のママ。消化器外科、泌尿器科、耳鼻科の混合病棟で勤務し、第1子妊娠。出産後は外来で勤務している。在宅での仕事を目指し、ライターに挑戦中。

看護師による看護師のためのwebメディア「ナースの人生アレンジ」


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