最近心や体に不調はありませんか?日々の忙しさや環境の変化は知らないうちにストレスとなり、大きな負担がかかっているかもしれません。
なかでも医療や介護職に多いといわれるバーンアウト(燃え尽き症候群)は、知らず知らずのうちに起こるといわれています。そうならないためにも理解を深め、予防することが大切です。今回は看護師のバーンアウトについてご紹介していきます。
1.バーンアウトとは?
「頑張っているのに報われない」「いろんなことを我慢し続けていたら疲れてしまった」「やる気が起きない」など、これまで活発に仕事をしていた人が、あることをきっかけに精神的に落ち込み、仕事に対する意欲や関心を失ってしまった状態をいいます。その理由はさまざまですが、看護師の場合、強い使命感や多忙な業務、長時間労働が大きな負担になっています。また、期待に応えたい想いと実際のギャップに悩む役割葛藤、人間関係や職場の配置転換、患者さんの死などがきっかけとなっている場合があると言われています。
2.バーンアウトの症状は?
バーンアウトには、「情緒的消耗感」「脱人格化」「個人的達成感の低下」という3つの症状があるといわれています。
・情緒的消耗
相手を思いやり、信頼関係を築くのには多くの情緒的エネルギーが必要とされます。この情緒的エネルギーを出し尽くし消耗してしまった状態を言います。
・脱人格化
脱人格化とは、相手の人格を無視した思いやりの感じられない行動を意味します。情緒的なエネルギーが消耗しないよう、防衛反応としてあらわれるそうです。
・個人的達成感の低下
上記の個人的消耗、脱人格化から、これまで行ってきたような仕事が行えず、有能感、達成感が低下します。その結果、休職や離職、強い自己否定につながります。
3.バーンアウトチェック
バーンアウトの指標として、症状別に下記のような内容があります。あくまでも参考程度にしてみてください。
情緒的消耗感
- ・こんな仕事、もうやめたいと思う事がある
- ・1日の仕事が終わると「やっと終わったと感じることがある」
- ・出勤前、職場に出るのが嫌になって、家にいたいと思うことがある
- ・仕事のために心にゆとりがなくなったと感じることがある
- ・体も気持ちも疲れ果てたと思うことがある
脱人格化
- ・こまごまと気配りすることが面倒に感じることがある
- ・同僚や患者の顔を見るのも嫌になることがある
- ・自分の仕事がつまらなく思えて仕方のないことがある
- ・同僚や患者と、何も話したくなくなることがある
- ・仕事の結果はどうでもよいと思うことがある
- ・今の仕事は私にとってあまり意味がないと思うことがある
個人的達成感の低下(逆転項目※)
- ・われを忘れるほどに仕事に熱中することがある
- ・この仕事は私の性分に合っていると思うことがある
- ・仕事を終えて、今日は気持ちのよい日だったと思うことがある
- ・今の仕事に心から喜びを感じることがある
- ・仕事が楽しくて、知らないうちに時間がすぎることがある
※逆転項目 他の質問とは測定の向きが逆になっている項目のこと
(久保真人(2007)バーンアウト(燃え尽き症候群) ヒューマンサービス職のストレス 日本労働研究雑誌 表1 参考)
4.バーンアウトを防ぐには?
バーンアウトを防ぐためには、自分自身と仕事上の役割とをはっきり分けることです。
一生懸命になりすぎて仕事のみに集中しすぎないよう、外に目を向けることが大切です。趣味や好きなことを楽しみ、休みの日は気持ちを切り替えてゆっくり休むようにしてみましょう。
また、人間関係では相手の気持ちばかりを考えて心が疲れてしまうことがあるかもしれません。相手に共感しながらも一定の距離を取る、ということを心がけてみる必要があります。
5.まずは自分自身を大切に
長年看護師を続けてきた先輩と話していると「そんなに根詰めないで」「細く長く行けばいいのよ」とアドバイスを受けることがしばしばありました。自分でも気がつかないうちに、目標を高く設定しがちで、そんな理想と現実のギャップに疲れていたようにも思います。
そういった職場での会話から力が入りすぎていた自分に気がつけたのかもしれません。
できなかったことに目を向けてしまいがちですが、できたことに目を向けるのも大切なことだと学びました。
また、気軽に困ったことを相談しあえる環境が、働くスタッフを守ってくれると感じます。
簡単なことばかりではありませんが、不調や違和感があったら思い切って職場や家族、専門家に相談しましょう。できる限り一人で頑張りすぎないことが大切だと思います。
参考:久保真人(2007)バーンアウト(燃え尽き症候群) ヒューマンサービス職のストレス 日本労働研究雑誌 (No.558)
【リョウコ】ナースLab認定ライター
循環器、精神科病棟等で勤務経験あり。 現在子育て中。 おもに医師監修のもと母子保健、また介護分野の記事を作成しています。