ナースに必須スキル!~アンガーマネジメントを習慣化しよう!~

ナースライター 優かおる
ナースライター 優かおる
ナースに必須スキル!~アンガーマネジメントを習慣化しよう!~

アンガーマネジメントは日々の積み重ねです。反復練習を行うことで、確実に自分自身のものになります。それでもつい「イラッ」としてしまう瞬間があるかもしれませんが、自分の感情を知ることで怒りとうまく付き合うことができます。今回も不要な怒りに振り回されないためのポイントについてご紹介いたします。

1.怒りから距離を置くための方法

怒りから距離を置くための方法

怒りという感情と意識的の距離を置く習慣をつけることで、感情的にならずに過ごすことができます。

(1) 怒りの境界線を広げる3つの箱

怒りにはそれぞれ傾向があります。その内容を理解するために、ノートに3つの箱を書いていきます。1つ目の箱は「出来事」になります。自分が怒ったエピソードを具体的に書きましょう。次に2つ目の箱「べき」には、イライラの原因になっている「~するべき」「~すべきではない」「~なはず」など自分の譲れない部分を正直に書きましょう。
書き終えたら「この考えは長期的にみて、自分や周りの人にとって健康的なのか」について客観的に考えます。長期にわたって心身ともに健全でいられる考えを持っているかという視点を持っているかが問われます。そのうえで、どうしても変えられない価値観でなければ「不健全な考え方かもしれない」と捉えます。最後に、3つ目の箱「書き換え」には、「どう考えればイライラせずに済んだか」「その出来事をプラスの方向に捉えるためにはどう考えればよいか」「そのために必要なコアビリーフはなにか」を書いていきます。
柔軟な発想で自分に質問を繰り返せば、価値観を書き換え、怒りの境界線を広げることができるようになります。


※コアビリーフ:「~すべき」「~あるべき」という個人の確たる信念や価値観


出来事・べき・書き換え

(2)怒りとうまく付き合うために

私たちは、「事実」と「思い込み」を混同しがちです。その結果、「思い込み」に引きずられ、余計な怒りを生み出してしまいます。まずは、普段から事実と思い込みを切り分けるトレーニングを意識しましょう。


例)患者さんからクレームを受けた。私は看護師失格だ。
事実:患者さんから私宛の連絡があった
思い込み:クレームを受けた。看護師失格だ。


ここでの事実は、「クレームを受けた」ではありません。「患者さんから連絡を受けたこと」が事実になります。もしかしたら、患者さんはあなたに忘れ物の確認をしたかったのかもしれませんし、ほかに聞きたいことがあったのかもしれません。連絡を受けただけでは、クレームにならないということになります。


事実・思い込み

2.無駄に怒らないために~必要な心のありかた~

無駄に怒らないために~必要な心のありかた~

誰かに注意を受けた場合、素直に聞けるときと、反発してしまうときがあるのはなぜでしょうか。それは、同じ出来事でも、どう意味づけをするかによって解釈が変わってくるからです。そのため「解釈の仕方」を変えれば、怒りを避けることができます。「怒りっぽい性格は変えられない」と思い込んでいる人がいるかもしれませんが、解釈の問題だと捉えると、自分を違った視点で捉えることができます。


【怒りが起こるまでの3つの過程】
怒りは、3つの過程を経て起こります。出来事の解釈の仕方でその感情が怒りになるかどうかに分かれます。
怒りが起こる3つの過程は下記になります。


ステップ1:出来事に遭遇する
ステップ2:意味付けする
ステップ3:怒りが発生する


とくに、このステップ2における「意味付け」を変えれば、無駄な怒りと距離を置くことができます。


(1) 怒りの奥にある「本当の気持ち」と向き合う

パートナーとのケンカで「あなたは私の気持ちを理解してくれない!」と言ってしまったり、言葉に出さなくてもそう感じたりすることは誰もが経験あるはず。しかし「自分の気持ちをわかってくれない」と思っている本人も、自分の本当の気持ちを理解していないことがあります。というのも、怒りは二次的感情(一時的感情から生まれたもの)であり、その裏には一次的感情(自分でも気づかない本心)が潜んでいるからです。まずは、コップに入った水をイメージしてください。怒りは、コップから溢れでた水のような存在です。コップの中には、悲しい、つらい、苦しい、寂しい、不安などマイナスの一時感情が溜まっています。一次的感情で心のコップがいっぱいになると、怒りとなって溢れてしまうのです。

怒りを感じたとき、また相手を怒らせてしまったときに大切なのは、「怒りの奥にある一次感情は何か」を探ることです。怒りそのものに対処するのではなく、一次感情に対して解決に導くほうが効果的です。


(2) 完璧主義にならず、現実的な目標達成を目指す

私たちは誰しも「理想の自分像」を持っています。理想のビジネスパーソン、理想の上司、理想のパートナー、理想のこども、理想の住まいなど、多くの理想を持っています。
なりたい自分像があり、理想に向けて努力することは素晴らしいことです。だけど常に理想の姿でいることはできません。まずはそのことを理解する必要があります。絶対にミスをしない人もいないし、体調不良の日があれば、忙しくて家事ができない日もあります。
しかし完璧主義の人は、理想の自分を追い求めるので、理想像から離れてしまうと失望してしまいます。「自分は良い母親ではない」「仕事も中途半端だ」などと思い悩み、イライラして周りの人に当たってしまい悪循環に陥ることがあります。さらに悪い点は、理想の姿を他人に求めるので、期待通りの結果を出さないと怒りになってしまうのです。

理想の姿を求めることは良いのですが、現実とかけ離れすぎないようにすることが大切です。



(3) 怒ってしまった自分を受け入れる

怒りは自然な感情なので、モチベーションにすることが可能です。問題としては、怒りの方向性です。怒りは3つの方向性に向かいます。


① 他人を攻撃する

他人を攻撃すると人間関係を悪化させてしまいます。自分の立場や気持ちを伝えることは大切ですが、あまりに攻撃的になると、相手も疲弊するばかりです。


② 物にあたる

「物にあたるのは誰も傷つかないから問題ない」と感じるかもしれませんが、そうではありません。癖になるだけではなく、どんどんエスカレートする恐れがあります。


③ 自分を攻撃する

自分を責めるのは攻撃を自分に向けているのと同じです。罪悪感を募らせ、気持ちがふさぎ込んでしまいますから、これも避けるべきです。



怒ってしまったときに自分を否定するのではなく、怒りっぽい事実を認め、自分を受け入れることから始めましょう。アンガーマネジメントでは「怒るべきときは怒った方がよい」という考えもあります。怒らないと後悔する内容に関しては怒っていいのです。
自分のなかで「怒るべきこと」「怒ったら後悔すること」を振り分けつつ、アンガーマネジメントを実践しましょう。



3.看護師あるあるイライラ例

看護師あるあるイライラ例

最近、看護師長から細かく注意されることが増えた。私はきっと師長に嫌われているんだ。師長との会話も苦手になっている。(Aさん)

対策

師長はAさんに対して細かい指導をしています。その理由は、以前Aさんに役職をもってほしいことを伝えていたからです。師長側としては、Aさんに今後のためにも教えておきたいことを伝えているつもりでした。しかし、Aさんは「自分は嫌われている」という思い込みがあります。まずは感情を整理し、思い込みを外しましょう。事実と思い込みを分け、指導の理由を尋ねてみると誤解が解けるでしょう。



4.まとめ

怒りは思い込みで助長してしまう事があります。日頃から「事実」と「思い込み」を意識的に分けることで、自分の感情と向き合いやすくなります。毎日一つでも感情の整理を行うことを心がけてみると、怒りに飲み込まれる前に気づくことができますよ。



~ライタープロフィール~

【優 かおる 】ナースLab認定ライター
福岡県出身のママナース。企業提携コーチ、ライター、予防医療事業なども行う。 仕事で悩んでいた時にコーチングに出会い、人生観が変わる。 自分らしい生きかた・働きかたの支援として副業サポートも行っている。 自身の活動をブログやメルマガにて発信中。
ブログ:https://yu-kaoru.com/free/

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