「病気や障害があっても自宅で医療、看護を受けながら最期まで自分らしく―」。在宅ケアを必要とする方のために療養生活を支援する「訪問看護師」。病院から在宅医療への転換が進む一方で、訪問看護師は看護師全体の4%だといいます。興味はあるけど躊躇してしまう看護師は少なくありません。しかし、一人ひとりの利用者さんにじっくり看護ケアできる日々はやりがいでいっぱい。今回は訪問看護師の“あるある”をお届けします。
目次
1.何より天候が気になる
看護師の訪問を待っている利用者さんがいる限り、天気に関係なくどこでも行きます。自転車やバイクの場合は、天気や季節の対策は不可欠。雨の日はレインウエアを身にまとい、夏の日差しにはサンバイザーで顔を覆い、利用者さん宅へ向かいます。
2.道に迷う
知っている地域ならともかく、知らない土地では迷いやすくなります。そのためにスマホでのナビを頼りに移動することは少なくありません。道を覚えるために同行することもありますが、すぐに覚えられるわけでもないので、ウロウロしてしまいます。
3.トイレの心配
訪問中は事務所に戻らないことがほとんど。そのため移動中でのトイレはコンビニ、公共施設、知り合いの事業所などでお借りすることがあります。トイレの確保は必須なため、訪問先までのルートにいくつかあります。
4.ランチは訪問先で決まる!?
訪問看護師のランチ事情は、利用者さん宅へ向かう途中だったり、事業所だったりさまざま。いろんな訪問先を駆け巡っているので、気になるお店を発見したり、テイクアウトを楽しんだりすることも。事業所で食べることがほとんどなので、お弁当を持参する人も多くいます。
5.春夏秋冬を堪能
訪問先に向かいながら外の空気を感じたり、空や雲の形を眺めたり、季節や自然を味わうことができます。私は道端で見つけた花や樹木をスマホで撮影して、外に出ることが難しい利用者さんに画像を見ながらお話しすることも。また、閉じこもりがちな方に外出のきっかけとして伝えています。
6.移動時間も有意義に
移動時間は、訪問後のまとめや次の利用者さんの準備のために頭を整理する時もあれば、八百屋さんの陳列台を見て、夕飯のメニューを考えたり、好きな音楽やラジオを聞いたりすることもあります。移動時間は自転車で数分のこともあれば、車で30分かかる場所もあります。この時間が自分のモチベーションをアップさせたり、振り返ったり思考の整理をする貴重な時間になるのかもしれません。
7.家の周りをぐるぐる
独居の利用者さんやご家族が仕事でいない場合、一人で過ごしていることがあります。訪問時にインターホンを鳴らして応答がないと「急変しているかもしれない」「具合が悪い?」など、急に心配になり焦ることがあります。本人に電話をかけても出ないときは、心配や不安がピークに達してしまい、玄関以外に入室できるところはないか、裏口、窓などを確認。ご近所の人が見たらたぶん不審者に思われてしまうかもしれません...。
8.在宅ならではのコミュニケーション
ケア後の残り時間は看護師とのコミュニケーションを楽しみにしています。人と会って話す機会が少ないため、看護師の訪問を心待ちにしてくれることも。もちろん会話の中からその方の生活や価値観を知ることができたり、ご家族も交えながら会話を楽しんだり、相談に応じることがあります。
まとめ
ゆっくりじっくり一人の利用者さんに関われるのが訪問看護の魅力。利用者さんとの信頼関係のもと、その方が望む生活を継続していくためにさまざまな関わりが必要です。今回のあるあるは地域や運営母体によっても違いがあると思います。新しく訪問看護に興味がある、働いてみたい方はぜひ見学や同行からスタートしてみるのがおすすめです。
~ライタープロフィール~
【西山 妙子 (にしやまたえこ)】ナースLab認定ライター
総合病院の外科・脳外科病棟、ICU、大学病院手術室に勤務。結婚、子育てを経て訪問看護の道へ。2015年ケアマネージャー取得。病院の業務で疲弊しないでほしいと看護師の横のつながりや、新しい看護師のライフスタイルの提案を行うナースのためのオンラインサロン「ナースライフバランス研究室(ナースlab) 」を2017年10月より企画運営(現会員数約900名以上)
マインヘルスケア株式会社代表取締役
ナースライフバランス研究室(オンラインサロン)
https://nurselab.net/home