多忙な看護師でもできる!眼精疲労対策

ナースライター 白城悠子
ナースライター 白城悠子
多忙な看護師でもできる!眼精疲労対策

昼休憩や就業後などホッと一息ついたとき「目が疲れているな......」と感じた経験はありませんか。
急変時のモニタリングや薬剤のミキシングなど、看護師は患者の生命に関わる業務があり、大切な場面で「目がかすむ」といったことがないように日頃から心がけなければなりません。
この記事では、看護師と疲れ目の深い関係と、今日からできる眼精疲労対策についてご紹介します。



1. 看護師は業務で目を酷使している

厚生労働省の調査によると、病院・診療所では電子カルテが普及しており、令和2年時点で一般病院では57.2%、一般診療所では49.9%の病院が電子カルテを導入済みです。
400床以上の病院では91.2%の普及率で、大規模病院を中心に導入が広がっています。

元看護師である筆者は2023年に大規模病院に勤務経験のある20~50代の看護師・元看護師29名に「電子カルテ使用による眼精疲労アンケート」を実施しました。
その結果、電子カルテ使用後に視力低下や疲れ目などの症状を自覚したと答えた人は11名(38%)に上りました。

看護師は研究論文の作成や院内看護マニュアルの見直し、クリニカルパスの作成など、勤務時間以外にもパソコンを使用する頻度が高いです。
近年では、新型コロナウィルス感染症の流行により院内・院外の勉強会や研修もオンライン化され、看護師の目の負担はますます増加しています。



2. 眼精疲労は休憩や睡眠では改善しない

目の疲れを感じても、休憩や睡眠をとると症状がなくなるのは「疲れ目」。
眼症状だけではなく全身症状や精神症状も出現し、休憩や睡眠をとっても改善しない状態が「眼精疲労」です。
眼症状は眼痛・目のかすみ・充血など、全身症状は頭痛・倦怠感・肩のこりなど、精神症状はイライラ・憂うつ感などがあります。

眼精疲労の原因は多岐にわたりますが、多くは毛様体筋の筋肉疲労や眼輪筋の衰えです。
近くのものを見るときは毛様体筋が収縮し、水晶体を厚くしてピントを合わせるため、長時間近くを見続けると毛様体筋に負担がかかります。
パソコンでの長時間の視作業以外にも、度の合わない眼鏡・コンタクトレンズの使用や暗いところでの読書なども毛様体筋を疲弊させます。
眼輪筋は瞬きをするときに使われている目の周りを囲んでいる筋肉です。
パソコンでの視作業を長時間行うと、眼輪筋が衰えます。
瞬きの回数が減ったり、上瞼と下瞼がくっつかない浅い瞬きになったりするため、目に負担がかかります。

「病気」も眼精疲労の原因の一つです。
ドライアイ・緑内障などの眼疾患や貧血・更年期障害などの全身疾患、自律神経失調症などの心因性疾患があり、原因疾患の治療が必要となります。

休憩や睡眠では改善しないのが「眼精疲労」。
おかしいな?と感じたらできるだけ早く医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。



3. 眼精疲労対策 ~勤務中の取り組み編~

眼精疲労を予防するには、視作業時の目の負担を減らす対策が必要です。
看護師が勤務中に取り組みやすい眼精疲労対策を2つ紹介します。



1)ディスプレイ対策

パソコンのディスプレイと目の距離が近いと、目に負担がかかります。
画面と目の距離は約40cm以上(画面まで腕を伸ばしたくらい)とるようにしましょう。

ディスプレイ対策

ディスプレイ画面の明るさと周囲の明るさとの差をなるべく小さくすると、目の負担を軽減できます。
夜勤時の電子カルテの入力は、ナースステーションに戻ってから行うように心がけましょう。



2)長時間の視作業対策

ディスプレイ画面を長時間見続けると、無意識のうちに瞬きの回数が減り、目が乾燥して目に負担をかけます。
作業中は意識的に瞬きをするように心がけてください。
作業を1時間行ったら10~15分の休憩をとり、遠くをぼんやりと見つめて目を休めるようにしましょう。



4. 眼精疲労対策 ~仕事の合間・休憩時間編~

発熱や歯痛などと違って慢性化した不調である眼精疲労は、つい放置してしまいがちです。
眼精疲労に詳しく、「目のすっきりストレッチ」(成美堂出版)を監修した有田玲子医師に対策をうかがいました。
看護師が仕事の合間や休憩時間に気軽に取り組める眼精疲労対策「まばたき運動」を紹介します。

まばたき運動は「ぱちぱち ぎゅー 眩しい目 キツネの目」の順番で実施します。
「ぱちぱち ぎゅー」は上瞼の筋トレで、「眩しい目 キツネの目」は下瞼の筋トレです。


  1. ① 2秒間目を閉じる
  2. ② 「ぱちぱち」 軽くまばたきを2回行う
  3. ③ 「ぎゅー」 ギューッと2秒間目を閉じる
    眉間にしわが寄ると、しわを寄せる筋肉を鍛えてしまいます。
    しわが寄らないように、上瞼に少しだけ力を入れるようにしましょう。
  4. ④ 「眩しい目」 パッと目を開いて、光が目に入ったかのように眩しそうに目を細める
  5. ⑤ 「キツネの目」 眉毛と目尻の間を指で上げて、キツネのような目をして閉じようとする
    目の下から持ち上げないように気をつけて、目尻に近い側をキツネのように指で上にあげてください。
    上瞼が動かなくなるため、目を閉じようとすると下瞼が動きます。

※①~⑤を5セットくり返す

まばたき運動

有田玲子医師は、YouTubeチャンネル「眼科医 有田玲子先生のドライアイ診察室」でも眼精疲労対策を詳しく解説されているので、参考にしてみてください。



5. 心も身体も健やかに

心身が安定した状態で多忙な看護師業務を行うためには、日頃から眼精疲労対策に取り組むことが大切です。
小さな取り組みを積み重ねて目はもちろん、心や身体も健やかな状態で日々の業務に臨みましょう。


参考文献:
1) 有田玲子 目のすっきりストレッチ 成美堂出版
2) 厚生労働省 自宅等でテレワークを行う際の作業環境の整備について
3) 厚生労働省 主な用語の定義
4) 厚生労働省 情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン
5) 厚生労働省 電子カルテ等の普及状況の推移
6) 公益財団法人 日本眼科学会 眼精疲労
7) 第21回日本眼科記者懇談会 講演2 報道用資料 ドライアイによる眼精疲労



ライタープロフィール

【白城悠子】ナースLab認定ライター
元看護師・産業保健師。経験年数はあわせて約14年。現在は専業主婦で、2児の母。
子どもの入園を機に子育て中心の働き方を模索し、ライターを目指す。
産業保健師にも再度チャレンジしたいと考え、就職活動中。
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