新型コロナウイルス感染症の流行以来、不織布マスクは一般の方々でも生活必需品となり、今やファッションの一部としても定着しました。 日常生活を含めて感染対策として使っている不織布マスクを「なんとなく」で選んでいませんか? 今回は、意外と知らない豆知識から賢い選び方、そして効果を最大化する正しい使い方まで、役立つ情報を凝縮してお伝えします。
目次
不織布マスクの基本的構造や種類
不織布マスクはどのような種類があり、何を基準に性能を決めているのでしょうか?
不織布マスクの正体!「3層構造の守り神」
不織布マスクは、その名の通り「織っていない布」からできています。薄く見えますが、繊維が複雑に重なり合う立体構造のおかげで、高いガード力を発揮できるのです。実は多くの不織布マスクは、役割が違う「3層構造」で作られています。
- ●表地(一番外側): 撥水性があり、飛沫をブロック
- ●フィルター(真ん中):ここが一番の要!静電気などの力を使って、ウイルスや微粒子をしっかりキャッチ
- ●裏地(肌に当たる内側):肌触りのいい素材で、呼吸による湿気を優しく吸収
真ん中のフィルター性能こそが、マスクの防御力を左右する鍵。実は、あの捕集力の高い「N95マスク」も、基本的なつくりはこの3層構造と同じなんですよ。
マスクの性能を示す「BFE」「PFE」「VFE」っていったい何?
パッケージでよく見かけるこれらの略語。専門用語の羅列に見えますが、実はマスクの防御力を示す大切な指標です。

医療用と家庭用は、こうした性能の差で区別されています。感染対策なら、微粒子をしっかり防ぐ「PFE・VFE 99%」の表示を目安にしましょう。ただし、二重にしても効果が2倍にはなりません。二重マスクにするぐらいなら、フィルターの性能を活かすために「顔へのフィット感」を重視した方が有効です。ちなみに、「●%」という表記は、特定の試験条件下において、決められた大きさの粒子(BFE、PFE、VFE)を●%以上捕集できたことを示す数値です。
「サージカルマスク」=「不織布マスク」なの?
「サージカル(Surgical)」とは「外科の」という意味。「サージカルマスク」とは元々、医療現場での使用を前提に作られたマスクのことです。その多くは不織布製ですが「サージカルマスク」=「不織布マスク」というわけではありません。サージカルマスクは、BFE95%以上といった厳しい基準をクリアしており、さらに性能に応じて「レベル1~3」に分類されています。
最近では、普段使いの不織布マスクでも医療用に負けない高性能なものが増えています。選ぶときは、パッケージの性能表示をぜひチェックしてみてくださいね。
賢い選び方!あなたの顔と目的にフィットしたベストマスクを見つけよう
高い性能を誇るマスクでも、顔にフィットしていなければ隙間から空気が出入りし、その効果が半減します。賢く選ぶための5つのチェックポイントをご紹介します。
1.サイズ:隙間ゼロを目指すフィッティングの極意
マスクの性能を最大限に引き出すには、顔とマスクの間にできるだけ隙間を作らないことが絶対条件です。
●顔のサイズを測るワザ
- 1.親指と人差し指で「L」の形を作ります。
- 2.親指の先を耳の付け根の上側に当てます。
- 3.人差し指の先を鼻の付け根から1cm下のノーズワイヤーがくるあたりに当てます。
- 4.親指から人差し指までの距離が、あなたに合うマスクサイズの目安です。
(例:12.5cmで子ども用、14.5cmで小さめ、16.5cmでふつうサイズなど)
●立体型 vs プリーツ型
- ○プリーツ型:汎用性が高く、口元の空間を調整しやすい。
- ○立体型(ダイヤモンド型など):顔の形に沿ってフィットしやすく、口元の空間が大きく確保されやすい。(メイク崩れや息苦しさを軽減しやすい)
2.フィルター性能:目的で使い分ける
前述の通り、感染症対策を重視するなら、PFE・VFE 99%の表記があるものがおすすめです。特に人混みや医療機関で使用する際は高性能なものを選びましょう。
3.素材:肌への優しさを考慮
長時間着用するなら、肌トラブルは大敵。
- ● 内側の素材: 肌に当たる裏地が、シルク混や毛羽立ちにくい素材、敏感肌向けの表記があるかを確認しましょう。
- ● 耳ひも: 太くて伸縮性の高い幅広タイプは耳への負担が軽減され、痛みが出にくいようです。
4.ノーズフィッター(鼻ワイヤー):密着度を高める鍵
鼻の形に合わせて変形させ、隙間を埋めるための重要なパーツ。ワイヤーがしっかりしており、自由に、かつ形状をキープできる硬さがあるかチェックしましょう。
5.安全性:信頼の目印をチェック
日本国内のメーカー製であれば「全国マスク工業会マーク」があるかを確認しましょう。一定の品質基準を満たしている目安となります。また、フィルター性能の試験報告書を開示しているメーカーは信頼性が高いようです。

効果を最大化!正しい使い方と「やっちゃいけない」NG行動
どんなに高性能なマスクでも、使い方が間違っていると効果が台無しに・・・。基本中の基本ですが、改めて正しい使い方を確認しましょう。
正しい装着のステップ

- 1 手指衛生:マスクを触る前には手指衛生が大切です。
(※マスクやマスクケースの汚染を予防するため) - 2 表裏・上下を確認:
○ノーズワイヤーがある方を上にします。
○ プリーツはヒダが下向きになるように広げます
(※プリーツにホコリなどが溜まるのを防ぐため)
○ 耳ひもの接着面で表裏を見分ける方法もよく耳にしますが、実はすべてのマスクに共通するルールではありません。接着部分の処理が少しザラっとしているものは、外側にするタイプが多い印象です。表裏の向きによって顔へのフィット感も変わってくるので、まずはパッケージを確認して、そのマスクにとっての「正しい向き」をチェックしてみましょう。 - 3 ノーズワイヤーの成形:顔に当て、鼻の上でワイヤーを指で両側から押さえて鼻の形にしっかりとフィットさせます。
- 4 隙間をなくす:プリーツを顎の下まで伸ばし、マスクの周囲、特に頬の横に隙間ができないか確認し、顔に密着させます。
マスク着用中のNG行動
- ● 鼻だけ出す(鼻出しマスク):感染対策の効果はほぼゼロ。鼻と口の両方を完全に覆いましょう。
- ● マスクの表面を触る:マスク表面にはウイルスや菌が付着している可能性大。触れたらすぐに手指消毒を!
- ● 顎にかける(顎マスク):マスクの裏地が首元の菌を拾い、再装着時に顔にウイルスや菌を運んでしまう。
- ● 長時間同じマスクを使い続ける:湿気や汚れで捕集効果が低下。汚れたり濡れたりしたら交換しましょう。
- ● 着脱時に内側に触れる:内側には自分の呼気や唾液が付着。外すときは耳ひもだけを持ちましょう。
肌荒れ対策
不織布マスクの摩擦や蒸れは、どうしても肌荒れの原因になりやすい・・・。
- ● 保湿ケア:着用前にベタつかない程度に保湿し、摩擦によるダメージを和らげましょう。
- ● 休憩時の開放:周囲に人がいない場所ではマスクを外し、こまめに肌を休ませてあげましょう。
- ● 内側シート活用:内側にガーゼ等を挟むと、肌への刺激や化粧崩れを軽減するのに役立ちます。
まとめ:「不織布マスクは、選ぶ手間をかける価値がある!」
不織布マスクは健康を守る強力なツールですが「なんとなく」使うだけでは不十分です。「顔に合うサイズ」「PFE・VFEの性能」「隙間のない装着」の3点を徹底すれば、防御力は劇的に向上します。少しの工夫で真の力を引き出し、自信を持って自分と周りの健康を守っていきましょう!
<参考・引用文献>
- 1. 一般社団法人 日本衛生材料工業連合会 ホームページ
(マスクについて) - 2. 一般財団法人日本規格協会
JIS T 9001:2021 医療用マスク及び一般用マスクの性能要件及び試験方法 - 3. 理化学研究所 計算科学研究センター ホームページ
(研究成果ピックアップ)
ライタープロフィール
【工藤智史(くどうさとし)】武蔵野徳洲会病院 感染管理室 感染管理認定看護師
介護福祉士取得後に看護師へ。手術室、外科、循環器内科を経験。主任として働く傍ら、教養学部学士を取得。2014年に感染管理認定看護師の資格を取得した。2018年8月より、現任の武蔵野徳洲会病院 感染管理室へ配属となり、感染管理者として勤務している。
趣味は自転車、散歩・食べ歩き、温泉めぐり、ディズニー、詰め放題、御朱印集め




