靴下は毎日使う身近なアイテムです。
当たり前に着用しますが、靴下は足の皮膚や爪を守り、温度・湿度を調整し、靴の中で摩擦を減らす「セルフケア用品」でもあります。合わない靴下は、締め付けによる循環の負担、ずれによる靴ずれ、ムレによる皮膚トラブルなどにつながりやすくなります。しかし、忙しい生活の中では靴下が合っているかは見過ごされがち……。まずは基本となるサイズ(フィット)と素材(ムレ・冷え)を押さえ、巻き爪や冷え性など“困りごと”に合わせて調整しましょう。
目次
靴下のサイズ選び:足趾が自由に動かせるかがポイント
靴下選びで最も大切なのはサイズです。
「ピッタリ」と「小さい」を誤認していませんか?サイズを選ぶ際に重要なのが足にテンションがかかり過ぎずに足趾を自由に動かせるかどうかです。
「小さくてキツい」と、指先にテンションがかかるため足趾や爪が圧迫されます。その結果、爪の食い込みを助長したり、足趾が縮こまったり、口ゴムの食い込みでゴム跡が残ったりします。特にむくみやすい方は締め付けが血流悪化を強め、冷えや不快感につながりかねません。
一方で「ゆったり大きすぎる」と靴の中で弛んで歩きにくくなるだけでなく、シワができやすくなります。シワによる局所の摩擦や圧迫が皮膚への負荷となり靴ずれ・水疱の原因になることがあります。
靴下が合っているかを次の3ステップで簡単にチェックできます。
- 1.かかとの位置が合い、歩いてもずれにくいか
- 2.つま先が突っ張ることなく、足趾が自由に動くか
- 3.履いた後に深いゴム跡が長く残らないか
巻き爪予防:靴下でできる3つのこと
巻き爪の要因は多数ありますが、靴下で「悪化要因を減らす」ことができます。
ポイントは次の3つ。
- ① 指先を圧迫しない
- ② 靴の中でずれない(滑らない)
- ③ 縫い目や段差が当たらない
特に「きつい」「前方に滑ってしまう」状態が続くと、爪への負担が増えやすくなります。 また靴下だけでなく、つま先が狭い靴やサイズ不適合の靴を履くことも巻き爪となる一因です。靴下とあわせて靴のフィット(つま先の幅、踵の固定)の見直しをおすすめします。
冷え性と靴下:「温める」より「冷えにくくする」
靴下による冷え対策は「厚手にする」だけでなく、締め付けすぎないことと汗冷えを避けることがポイントです。口ゴムがきつい靴下や、重ね履きで結果的に圧迫が強くなると、かえって冷えを助長することがあります。寝るときに靴下を何枚も重ねて履く高齢者をみかけますが、重ね履きは締め付けが強くなり血流悪化につながることがあります。保温の目的であれば、重ね履きよりも1枚厚い靴下を選ぶ方が血流への負担が少なくなります。汗をかいた後にムレたままにしないなど、湿度管理もセットで考えましょう。
また『着圧ソックス』は、むくみ対策として選択肢になる一方、サイズ不適合や圧が強すぎると不快感・皮膚トラブルにつながります。「しびれ」「足先の色が悪い感じがする」など循環が気になる場合は、無理に継続せず状態に応じた評価・相談につなげることが大切です。
糖尿病や慢性疾患がある方の靴下選び:刺激に気づきにくいことも……
糖尿病や末梢神経障害がある方は、傷ができても痛みや違和感を感じにくく、発見が遅れがちです。そのため、白など色の薄い靴下を身につけると、脱いだ時の汚れで傷が発見しやすくなります。また、靴下の縫い目やシワ、締め付けが皮膚トラブルのきっかけになることも。靴下を脱いでゴム跡や発赤が残る場合は、サイズや素材、仕様を見直しましょう。足趾が分かれたタイプ(5本指・足袋型など)の靴下は、日本では好まれる傾向にあります。しかし、構造上「縫い目が足趾の側面に当たりやすい」ため、小さな傷のリスクになることがあります。糖尿病や血流が悪い方は、一度傷ができると治りにくいため足趾が分かれたタイプの靴下は避けましょう。
ストッキング・タイツ:足トラブルを防ぐ着用のコツ
靴下以上に伸縮性に富み、足趾にテンションがかかる履き物です。痛みの伴わない巻き爪だった方が、冠婚葬祭でストッキングを着用し、巻いていた爪の端が真っ赤に腫れ、化膿してしまった……というエピソードもあります。特に女性はストッキングの着用を避けられない場面もあると思います。そんな時は『着用後つま先の先端を摘み、弛まない程度に軽く引っ張る』という一手間で、足趾の負荷は大きく軽減できます。痛みや炎症を回避できるので、ぜひ覚えておいてお試しください。
まとめ:靴下選びチェックリスト
- - サイズが合い、ずれにくい
- - つま先が圧迫されず、縫い目が当たりにくい
- - 深いゴム跡が残らない
- - ムレが続きにくい(勤務や活動量に素材を合わせる)
- - 冷え対策は「締め付けすぎない」「汗冷えを避ける」
- - 慢性疾患がある方は、刺激に気づきにくい前提で選ぶ(足趾が分かれたタイプは要注意)
ご自身の靴下選びはもちろん、患者さんの靴下選びにもぜひお役立てください。
参考文献・参考情報(URL)
IWGDF(International Working Group on the Diabetic Foot)Guidelines(予防・フットウェア等)
American Diabetes Association. Standards of Care in Diabetes(Foot care関連を含む)
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ライタープロフィール
【木嶋千枝(きじまちえ)】 Abeby 代表/大誠会内田病院
健康維持や健康寿命延伸には身体の基礎部分である足や靴が重要で、靴の履き方や選び方などの生活習慣が要なんだと声を大にする慢性疾患看護CNS。
自分らしいと思える時間を積み重ねてもらうためには足育が必要だと一念発起し、病院を飛び出し2019年Abeby起業。寄り添う看護を目指して取得した日本認定心理士や日本糖尿病療養指導士としての知識や技術を最大限に活かして、啓発活動や教育にも力を注いでいる。子どもとおとなの足靴カウンセリングサポートを群馬の自宅で開始。
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