暑い季節がやってきました!今年も太陽の日差しが厳しいですね……。
昔の人はこの日差しに皮膚一枚で戦ってきたわけですが、今の私たちには日焼け止めという強い味方があります。とはいえ、日焼け止めを理解して正しく使えているかというと……案外、知っているようで知らないかもしれません。
さて私は、皮膚・排泄ケア認定看護師を名乗っており、皮膚に関しては皆様よりちょっと詳しいと思っております。今回は日焼け止めに注目し、夏はもちろん、季節を問わず皮膚を紫外線から守るための方法を解説します。
それではまずは、戦う相手を知ることから始めましょう。
・太陽の攻撃原理
・皮膚を守る方法
・全力で守る方法
相手を知ることで、患者さんの皮膚も、自分の皮膚も、守っていけますよ。
目次
1. 太陽の攻撃の正体は、2つの紫外線
皆さん、太陽から皮膚を守るには、なんか【+】がいっぱいある日焼け止めがあればいいんでしょ?と思っていませんか?それは正しくて、少し間違っています。
まず、太陽の攻撃の正体は紫外線です。紫外線はUVA、UVB、UVCの3つに分けられます。このうちUVCは大気中でほぼ吸収されるため、私たちの皮膚に届く太陽紫外線として主に問題になるのがUVAとUVBです。
・UVA(紫外線A波)
・UVB(紫外線B波)
では、それぞれUVA、UVBは、皆様の皮膚にどのような影響があるのでしょうか。
2. 皮膚の構造を確認
ちょっとここで、皮膚の構造を簡単に確認しておきましょう。
皮膚の構造を知ることは、日焼けのみならず、保湿、スキン-テア、褥瘡など、いろんな看護や生活に今後役に立ちます。
皮膚とその下の組織は、大きく「表皮」「真皮」「皮下組織」の3つに分けて説明されます。
表皮: 皮膚の最も外側にある層です。水分の蒸発や外部からの刺激を防ぐ角質層と、新しい表皮細胞を生み出す基底層などがあります。
真皮: 表皮の下にある層です。コラーゲンや弾性線維のほか、血管や神経などがあります。表皮には血管がないため、真皮の毛細血管から酸素や栄養が供給されます。
皮下組織: 真皮の下にある、脂肪を多く含む組織です。脂肪細胞のほか、血管や神経、結合組織などがあり、衝撃を和らげたり、体温を保ったりする役割があります。
3. UVAは、じわじわ奥まで攻撃する
ではUVA(紫外線A波)は、どんな攻撃をするのでしょうか。
UVA(紫外線A波)は、皮膚の奥深く(真皮)まで到達します。ハリや弾力を生むコラーゲンやエラスチンに影響を与え、しわやたるみといった「光老化」に大きく関与しています。日常生活でも浴びているため、じわじわとダメージを蓄積します。
知らないうちに蓄えられるダメージ。おそろしいですね。
UVA(紫外線A波)を防ぐ目安がPA(Protection Grade of UV-A/プロテクション・グレード・オブ・ユーブイエー)です。深部で蓄積するダメージを防いでくれるものになります。日焼け止めに【PA+++】などと書いてあります。+が多いほど、UVAを防ぐ力が高いと考えてください。
4. UVBは、表面を強く攻撃する
次にUVB(紫外線B波)は、どんな攻撃をするのでしょうか。
UVB(紫外線B波)はエネルギーが強く、主に皮膚の表面(表皮)にダメージを与えます。短時間浴びるだけで肌を赤く炎症させ、将来的なシミやそばかすの原因になります。強すぎると、やけどのような状態になることもあります。
これを防ぐ目安がSPF(Sun Protection Factor/サン・プロテクション・ファクター)です。日焼け止めに【SPF 50】などと書いてあります。数字が大きいほど、UVBを防ぐ力が高いと考えてください。
5. 日焼け止めは塗れば終わり、ではありません
しかし、日焼け止めを塗れば完全に紫外線を防げるわけではありません。夏だけ塗ればいいわけでもありませんし、水や汗で濡れれば塗り直しも必要です。季節や生活場面によって、使い方も変わってきます。
例えば、PAは+~++++まであります。SPFは50+まであります。
日差しの落ち着いてきた季節や、日常生活の範囲でしたら、PAは++~+++程度、SPFは20~30程度でも十分な場面があります。
一方で、屋外で長時間過ごす日、汗をかく日、水に濡れる日などは、より防御力の高いものを選び、こまめに塗り直すことが大切です。
6. 皮膚を守る方法は、日焼け止めだけではありません

紫外線から皮膚を守ることが重要ですが、日焼け止めを塗る以外にも方法があります。
UVカットしてくれるパーカーだったり、高齢者に優しいUVカット機能のあるアームカバーが発売されたりしています。もちろん日傘やつばの広い帽子、サングラスなどの活用も有効です。
まとめ
若いから皮膚を守る。高齢者だから、もう紫外線対策は必要ない。そんなことはありません。皮膚は年齢に関係なく、外からの刺激や乾燥、細菌などから、私たちの身体を守り続けています。
患者さんの皮膚も、自分自身の皮膚も、守るために必要なのは、特別に難しいことではありません。「とりあえずSPFやPAが高いものを塗る」ことではなく、UVAとUVBの違いを知り、その日の活動や過ごす場所に合った日焼け止めを選ぶことです。そして、十分な量をむらなく塗り、汗をかいた後やタオルで拭いた後、長時間屋外で過ごすときには、忘れずに塗り直しましょう。
この夏だけではなく、一生涯身体を守ってくれる皮膚を、毎日の小さな工夫で大切にしていきましょう。
ライタープロフィール
【坂田さち子】
さかたさちこナースのアトリエ代表
皮膚・排泄ケア認定看護師
1989年 防衛医科大学校高等看護学院 卒業
1989年~防衛医科大学校病院をはじめ以降20年弱病院にて従事
2005年 皮膚・排泄ケア認定看護師取得
2015年~訪問看護ステーションにて看護師・管理者として働く
2023年~さかたさちこナースのアトリエ設立。
医療看護・地域の垣根のない働き方をめざしている
HP:https://sakatasachiko.net/




