訪問看護師は、利用者さんの自宅という限られた環境で看護を提供するプロフェッショナルですが、実はその裏で膨大な「事務作業」をこなすスペシャリストでもあります。病院勤務時代にはクラークさんにお願いしていた書類作成や多職種との連携。これらの業務を一人で完結させる中で、訪問看護師ならではの独特な事務スキルが驚くほど磨かれていくものです。今回は、訪問看護師が「いつの間にか身についていた!」と感じる、事務スキルの「あるある」を、私の体験談からご紹介します。
目次
1. 毎日上達するフリック入力!
移動時間や訪問と訪問の間の隙間時間は貴重な記録タイム。タブレットやスマホでの電子カルテが主流の今、片手でのフリック入力が格段に速くなりました。駐車場での数分間、自転車移動の場合は公園のベンチで訪問記録を完結させるスキルは、事務職顔負け。報告書作成やFAX送信でパソコンを使う機会も多く、タイピング速度も上がりました。
2. 報告書の「要約力」がとても高くなる
毎月の訪問看護報告書の記載では、限られたスペースにいかに情報を凝縮するかが勝負。「要約力」は、回数を重ねるごとに研ぎ澄まされます。ケアマネジャーや医師が一目見て状況を把握できる文章力は、ビジネス文書作成の基本そのものです。
3. 多職種連携で鍛えられた、電話応対術
病院、ケアマネジャー、福祉用具業者、医師など、1日に何度も電話をかけます。相手の忙しさを察しつつ、伝えるべき重要事項を簡潔に伝え、かつ相手を不快にさせないコミュニケーション力も磨かれます。必要な環境調整やケア介入を提案することもあり、その技術は営業マン顔負け。交渉術も立派な事務・調整スキルです。
4. カバンの中は「動く文房具店」
訪問バッグの中には、印鑑や朱肉、予備の同意書、ホチキス、クリップ、ボールペンの予備、替芯などが入っています。利用者さんのご自宅の限られたスペースで、必要な書類をサッと取り出し、その場で不備なく整理する。この「物品管理・整理整頓能力」は、デスク周りのファイリングスキルやカルテ整理でも大いに発揮されます。
5.スケジュール管理は1分単位の調整能力
急なキャンセルや緊急訪問が入った際、訪問者の変更やルートを組み替えて時間を捻出する「工程管理スキル」。地図アプリとにらめっこしながら、移動効率とケアの質を天秤にかける所長やスタッフの姿は、物流センターの司令塔のよう。最短ルートで訪問先へ向かう道筋にも、とても詳しくなりますね。これらの能力のおかげで、その後も滞りなく訪問できるわけです。
まとめ
訪問看護師の事務スキルは、デスクワークだけでなく、記録、調整、管理……どれも看護の質を支える重要な内容です。一人で事務仕事をこなす中で得たこれらのスキルは、どのような職場でも通用する一生モノの武器になることでしょう。私自身、始めは電話相談や対応が苦手でした。しかし何件もの対応経験から必要な情報を聞き出し、アセスメントして解決策を返答するスキルを鍛えられたのです。事務作業が多く残業する日もありますが「これもプロの事務スキルを磨いている最中!」とポジティブに捉えて、明日からの訪問も楽しんでいきましょう。
ライタープロフィール
【kumi】ナースLab認定ライター
急性期病棟、外来、訪問看護、施設勤務経験あり。現場で働きながらライター活動を行う。スキンケア、ハンド、フットケアが好きで楽しみ。家族ケア、精神的ケアの勉強、実践中。
看護師による看護師のためのwebメディア「ナースの人生アレンジ」




